桜が咲く頃を見計らってハワイから日本行きました。今年の花の開花は例年より早かったようですが、ちょうど開花の頃に間に合いました。桜にもいろいろ種類があり、桜のある位置で多少開花が変わるので、地元の開花情報を頼りにあちこちへ出かけました。
今年の春は日本の方々にもコロナ感染の規制が緩んで、久しぶりに花見に出かける人達も多かったようです。私達がでかけた、名古屋の桜の名所の一つ鶴舞公園には地下鉄駅を降りるともうすごい人並みで、公園内も食べ物を売る屋台や車を改造した食べ物屋さんが立ち並び、若い人達で大賑わいでした。
花を見るのもいいのですが、花見に出かける人達を見ているの結構面白いです。どんな団体かわかりませんが、さまざまな人々の集まりがあり、服装やら花見の仕方もいろいろ違ったり、小さな子供を連れた家族、恋人同士で楽しそうに歩く姿。中には車いすに乗った人を連れての家族連れ、一人で黙々と食べてる人。この世の中ほんとうにいろんな人が生きているんだって改めて思わされました。いろんな違った人生を歩んでいても、この桜の下でみんな春が来たことを一緒に祝うのです。最近では結構外国人も増え、違った言葉を耳にしたりして、世の中変わったものだと思いました。いろいろ国籍は違っても、この穏やかな日本の春を楽しむ、味わうっていう点では同じなのだろうと思いました。
こうした人が集まる所には「大道芸人」なる人もいて、空中に刀、ナイフを投げる曲芸をしてみせ、見ていると段々難易度が高くなっていきます。「これはまだ習いたての芸で、できる確率は半々」と言って披露する芸では、ちょっと失敗ぽいのですが、周りで見る人の目は暖かく、惜しみなく拍手をしたりしていました。最後に帽子が回されてきて、お金を入れるのですが、みんな結構気前がよく、中には5千円札など何枚かのお札も入っていました。この曲芸師の人はこの道20年とかで、話術といい、見せ所といい、その曲芸の技術といい、なかなか堂にいってました。こんな人達に出会うのも花見の楽しみかもしれません。この曲芸を見た子供達にはずっと思い出に残るだろうし、この子供の中には自分もやってみようって考える子供も出るかもしれません。青空に映える桜を見ながら、年齢、性別、家庭の事情など異なるいろんな人が集まって「花見」を共有していました。
久しぶりに経験する日本の「花見」。日本にいた若い頃には、花見の思い出があまりないのですが、久しぶりに日本に帰り見る桜はひとしおでした。家族や職場や親しい仲間の集まり、恋人同士、家族連れ、一人静かに花見する姿を見て、本当に人生いろいろ、私自身の思い出と今の自分とか重なりいろんなことを思いつつ、この時期に日本へ来られたことに感謝しました。
とどけMahalo! アメリカ本土便り No.153
大井貞二(おおいさだじ)
1988年にハワイに移住。地元の私立校で日本語を教える。その後、ハワイ大学大学院を経て、ハワイパシフック大学(HPU)にて世界中からやってくる学生に日本語を教え、最近退職。現在アメリカ本土に居住。
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