歯医者さん
日本ではほとんど歯医者さんへ行くことがなかったですが、ハワイへ来てからは年に2回のクリーニングに通いだしました。30年ちょっと前に自分が選んだA氏は、歯科医院を開業したばかりのやる気満々の人でした。
そのA氏が「日本の歯科治療は20年遅れている」と断言した言葉が妙に心に強く突き刺さり、それを全面的に信じて、ハワイで歯科治療が受けられる私は運がいいのだと思いました。確かに日本では定期的に歯のクリーニングに行くのはあまり一般的でないし、歯並びの悪い人も多いですね。
歯茎が弱ってると言われ…
A氏は私の歯を見て、歯槽膿漏が進行していて、やがて全部歯を無くしてしまうと、歯の前部の右上、右下、左上、左下の四か所と後部の四か所に分け、順々に歯茎を切り開いて、歯の根元から歯垢を取り除くという治療を受けました。合計その専門医の元には8回通いました。その後もA氏はいろいろ奥歯の治療などを勧めたりしましたが、特に痛いわけでもなく、緊急性もないようなので、あやふやな返事をしていました。
奥歯にセラミックスのクラウン
日本にいた時の歯科治療がよくなかったと見えて、奥歯にクラウンをかぶせることとなりました。それでA氏は見た目がよく、強度も高いセラミックを勧めました。ところが二年としないうちに何度も壊れてしまい、その度にクラウンがかぶせてある歯の根元に治療が入り、とうとう歯の根元が徐々に弱くなり、結局はだめになり、インプラントが必要になってしまいました。
それでインプラントの専門医に行くと、「奥歯にはセラミックはよくない」と言われてびっくり、その専門医が自分の奥歯が金属のクラウンになっているのを見せてくれました。一体どちらが正しいのでしょうか? これに関して、数人の歯医者さんに尋ねたことがありますが、反応はいろいろでした。ちょうど、いろんな治療に関しても、お医者さんが一様にひとつの治療法をすすめないのに似ている気がします。
A氏にさようなら
A氏とは長いお付き合いでしたが、紹介された他の歯医者さんが明らかな誤った治療をしたのに、その同業者を守ろうとしたのでA氏の治療院へ行くのをやめました。
昔A氏に勧められた歯茎の手術ですが、最近こちらウイスコンシンの歯医者さんに、過去に歯茎の手術をしたことを話すと、「あー、その治療はもうしてませんね」と言われてびっくり。歯科治療というものは日進月歩で、昔良いとされたことが、後には全くされなくなることがあります。あの30年前の高額で不快だったあの歯茎の治療に関して、誰かほかの専門医に相談する(セカンドオピニオンを求める)方法もあったのではと後悔するのです。
歯医者さんの選択、難しいですね。皆さんはいい選択をされることを祈り、今日は何かのお役に立てばと私の経験をお話ししました。
とどけMahalo! アメリカ本土便り No.108
大井貞二(おおいさだじ)
1988年にハワイに移住。地元の私立校で日本語を教える。その後、ハワイ大学大学院を経て、ハワイパシフック大学(HPU)にて世界中からやってくる学生に日本語を教え、最近退職。現在アメリカ本土に居住。
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