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コラム とどけMahalo! アメリカ本土便り

ウイスコンシンで独り言 余計なお世話 2

 昔、日本で英語教師だったA氏は、ある時生まれて初めて外国旅行にでかけました。生の英語にたくさん接しようと出かけたのでしょう。そして、道の行き方や答え方を調べようとロンドン市内でいろんな人に同じ質問をしたそうです。いろんな答えに出くわしたり、ロンドンの人達が話す英語の微妙な発音の違いに興味を起こしたりしたのであろうと思います。

 ところがA氏がこうして同市内で同じ質問を繰り返しているうちに、道を説明した人がA氏の行く方向をじっと見ているので、A氏は仕方なく言われた方向へ進むはめになったといいます。中には心配してか、ずっとついてくる人もいたりしてA氏は困ってしまいました(道を聞くという経験から人と知り合いになることもありますね)。

 このA氏というのは、実は元早稲田大学教授で長く(1972―1985年)NHK英会話ラジオ講座を担当された東後勝明氏です。東後氏は日本で生まれ日本育ちなのに、素晴らしい流暢な英語を話され、ラジオから流れて来るきれいな発音に私はいつも魅了されていました。そしてのちに東後氏がこうした英語を勉強した体験談、苦労話を「英語ひとすじの道」(日本放送出版協会1985年)で知ることとなりました。

私が台湾で受けた親切
 この世の中には親切な人がいて、知らない土地で道を聞いたりすると親切に教えてくださる人がいます。時には予期せぬ親切を受けてしまうことがあります。私は5年前、台湾の台北「猫空(マオコン)」という台北の街並みを一望できる山頂付近で道に迷ってしまいました。それでたまたますれ違った人にケーブルの乗り場を尋ねると、その人がご自分の車で山のふもとまで送ってくださることになりました。そして、ついでだからと近くのその方の出身大学(台北大)を案内していただき、何と昼食までごちそうになってしまいました。

 ありがたかったのですが、猫空観光を終えていなかったので、翌日また出かけることとなってしまいました。台湾ではほかにもいろいろ親切を受けましたが、行先を説明してもらえるだけで助けられた場合もありました。

世の皮肉
 私の妻は若い頃、旅行しているとバスや電車の乗降の際に頼みもしないのに、誰ともなくすぐに荷物を持つのを手助けしてくれる人がいたそうですが、段々年を取り、力が衰えて誰かの助けが必要になる時になると皮肉にも誰も助けようとしてくれる人がいなくなったと嘆いています。世の中必要としている人へ親切が及ばず、それほど必要とされない人が親切を受けるようになっているのでしょうか?

 人はいろんな所で助けたり、助けられたりしていますが、時にはその親切が行き過ぎてしまう場合があります。私自身、人から道を聞かれた時に、うっかり聞かれた以上のことを言ったりして、あとで「言い過ぎたか?」「余計なお世話だったか?」って自問しながら反省することがあります。

とどけMahalo! アメリカ本土便り No.156

大井貞二(おおいさだじ)

1988年にハワイに移住。地元の私立校で日本語を教える。その後、ハワイ大学大学院を経て、ハワイパシフック大学(HPU)にて世界中からやってくる学生に日本語を教え、最近退職。現在アメリカ本土に居住。

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