【ドクター月川のヘルシートーク】日本のアフターピル (緊急避妊ピル) / Emergency pill
前回は、アメリカのアフターピルについて説明いたしましたが、今回は日本のアフターピルについてお話していきたいと思います。
1.アフターピルとは
避妊に失敗してしまったり、避妊せずに性行為をしてしまった場合、望まない妊娠を避けるために緊急処置として行う避妊法です。アフターピルによる避妊効果は、正しく服用した場合は95%程度の成功率となっています。
2.アフターピルの適応と必要性
① レイプ
② 避妊をしない性交後
③ コンドームが破損した場合
④ 膣外射精
⑤ 低用量ピルの飲み忘れなど
3.アフターピルの作用機序
子宮内膜の性状を変化させることによって「受精卵」が子宮内膜に着床するのを阻害したり、また服用する女性ホルモンの周期によっては、排卵の抑制や遅延にも作用するとされています。
4.日本のアフターピルの種類と服用法
日本では主に2つの方法がとられています。
①ヤッペ法
ホルモン配合剤(エチニルエストラジオール)いわゆる中等量の経口避妊薬を性交後72時間以内に2錠服用しさらにその12時間後に2錠服用します。ここで注意していただきたいのは、アメリカで市販されている経口避妊薬いわゆるBirth Control Pillは低用量ピルであって、この日本のアフターピルに用いるには薬の容量が足りないため、同様に使用できないということです。
もし、アメリカで処方された低用量ピルを用いて、アフターピルとして服用したい時は、必ず主治医に相談してください(また後日のコラムで経口避妊薬についてもお話しさせていただきたいと思っています)。
②レボノルゲストレル法
これは、黄体ホルモンです。レボノルゲストレルは、性交72時間以内に1錠服用しなければなりません。このゴールデンタイムを逃すと避妊できなくなりますので注意してください。
5. 内服方法(飲み方)の注意点
どちらのピルも指定された時間内に服用しなければなりません。もしこれらのピルを服用して3時間以内に嘔吐してしまった場合は、もう一錠追加して服用してください。
6.アフターピルの入手方法と価格
日本では、アフターピルは処方薬となっています。必ず産婦人科医の診察を受けてから処方箋を発行して購入することになります。気になるお値段ですが、保険外診療となりますので、受診した医療機関の設定したお値段となります。
最新情報ですが、厚生省が試験的に認定した薬局で薬剤師が直接アフターピルを処方することを試みているそうです。ただし、全ての薬局で行われているわけではありませんので、注意してください。
7.副作用
① 吐き気、嘔吐
② 腹痛
③ 乳腺の痛み、胸の張り
④ めまいや頭痛
⑤ 月経周期のずれ、翌月の生理周期の変化
⑥ 倦怠感
8.アフターピルを服用できないケース
•肝臓に障害のある方
•重度の消化器症状のある方
•薬のアレルギーのある方
9.アフターピルを服用するにあたっての注意点について
アフターピルはあくまでも緊急用のピルであって、通常の避妊には使用できません。ですから次の生理が来るまでは、必ず避妊することが必要となるので、コンドームの使用をお勧めします。以後避妊を希望される方は、主治医に相談して低用量ピルの服用をお勧めします。
通常2週間以内に消退出血がみられますが、内服後2週間以上たっても生理の出血がなかったり、極端に通常の生理の量より少ない場合は、必ず主治医に相談してください。
アフターピルは授乳中でも服用することができます。主産後避妊せずに性行為をして心配になった時でも服用可能です。
今回はアメリカと日本のアフターピルについてお話をしましたが、次回は通常の避妊用のピルについてお話をしたいと思います。
2024.1.31
FAMILY PRACTIC(ファミリードクター)
月川一恵(つきかわ かずえ)
北里大学医学部卒業
福島県立医科大学
眼科学教室(5年在籍)
産婦人科教室(4年在籍)
カピオラニ病院
Infertility Labでリサーチを3年
クアキニ病院 (認可医師)
Family Practiceの研修を3年
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