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コラム とどけMahalo! アメリカ本土便り

ウイスコンシンで独り言  おまけの人生

 ビートルズの歌で「64歳になったら」っていう歌がありました。その歌を聞いた時、私は16歳くらいだったと思います。10代の若者にとって60歳など想像もできないほど遠い先のことです。私がその歌を聞いた頃(1965年)の日本の男性の平均寿命は68歳くらいでした(男性67.74、女性72.92歳)。10代の頃自分の人生の先も先、人生の終わりのことなど想像もできないのは当然ですね。

 この歌はビートルズのポールマッカートニーが14歳の時に書いた歌だそうで、その頃のイギリスの男性の平均寿命は70歳くらいだったので、まさに人生もあとわずか残すだけという感じですね。

いざ64歳になってみると
 やがて時間は過ぎ、私も還暦を迎え何人かの人からその還暦を祝ってもらい、そしてとうとう本当に私自身もこの歌の64歳になってしまいました。私の父親は62歳で亡くなっているので、その年齢を超えたっていうことは父親と比べると長生きして、余分の人生を貰っているという気がしてなりません。また父親が亡くなる時も「親より長生きしたので、充分」と言って、父は亡くなりました。

60歳って若い
 今の60歳に達した多くの人が感じていると思いますが、若い時に想像した60歳よりずっと若く元気だと思うのです。医療が発達し、栄養状態もよくなり、健康意識も高まったこともあると思います。それでも60歳になると日本の年金を少額ではありますがもらうようになりました。それと町で見かける「お年寄り」な人が、実は私と同年配のことがあるようにはなりましたが、気持ちだけは若いです。いろんな行動を年齢を理由にして、やらないということもありません。

100まで生きる
 私の友人で最近80歳になった人が二人います。このお二人は母親が百歳近くまで生きられたので、「私は(少なくとも)95までは生きるとして、あと15年ある」と言います。どうやら百歳ちかくまで生きられるとお考えのようですが、私はそんな風には考えられないのです。私の母は77歳でなくなり、私はその年齢にだんだん近づきつつあります。そのことを意識して、毎日こうして元気で生きていることを当たり前だと考えないで、毎日感謝していきたいです。

 親が生きていた頃には戦争があり、地震や台風など自然災害も多く、多少体調が悪くても医者に行くことはなく体を酷使する人が多かったと思われます。そんなことを考えると、今こうして平穏無事に過ごせる時間は「おまけ」のように感じています。多くの人にとって平均寿命はこれからも延び90歳になっても元気な時代が来るかもしれませんが、私はあまり先々のことは考えないで、今こうして生きている今を大切にしていきたいです。あの「64歳になったら」の歌を自分の年齢に置き換えて歌いながら、父親より長く生きるこの時間を「おまけ」の人生と感謝しながら生きていきたいです。

とどけMahalo! アメリカ本土便り No.172

大井貞二(おおいさだじ)

1988年にハワイに移住。地元の私立校で日本語を教える。その後、ハワイ大学大学院を経て、ハワイパシフック大学(HPU)にて世界中からやってくる学生に日本語を教え、最近退職。現在アメリカ本土に居住。

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