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デジタル版・新聞

コラム 旅は呼んでいる 加西来夏

チェコ ~プラハ、チェスキー・クルムロフ~

旅は呼んでいる

「静かな美しいプラハの市街は、一夜にして硝煙と戦車の走る轟音と学生のシュプレヒコールに包まれてしまった。(中略)変わらないのは、ブルタバの静かな流れのみである」

 これは今から半世紀前、チェコスロバキアに駐在していた日本人外交官、春江一也が自らの体験を基に執筆した“プラハの春”の一節である。

 母がこの小説にいたく感動し、プラハに行ってみたい!というリクエストに応えるべく訪れた。

 

 十二人の使徒や死神の精巧なからくり人形が仕掛けられた天文時計で有名な旧市庁舎や、ゴシック様式のティーン教会、バロック様式の聖ミクラーシュ教会の上部にはそれぞれ美しい尖塔がある。そうした塔を持つ建築物が多く立ち並ぶ様子から“百塔の街”とも呼ばれるプラハ。小高い丘の上にあるプラハ城から眺める街並みも素晴らしいが、城内の聖ヴィート大聖堂にある、ミュシャが手がけたステンドグラスも色使いやデザインが斬新で見応えがある。

ミュシャのステンドグラス

 また、プラハはスメタナやドヴォルザークを輩出した音楽の都でもある。“のだめカンタービレ”というクラシック音楽がテーマのドラマも好きな母が、主人公がコンサートをした場所で生演奏を聴いてみたいということでスメタナホールへ。

 幸運にも、国の象徴ともいえる名曲『ブルタバ川(ドイツ語:モルダウ川)』を聴くことができ大変満足して貰えた。

スメタナホール

 プラハから日帰りで行けるチェスキー・クルムロフはよりメルヘンな景観で、コンパクトにまとまっていて街歩きが楽しい。チェスキー・クルムロフ城では堀の中でクマが飼育されており驚いた。これはかつて、城主が名門貴族と親戚であることを誇示するため、その貴族の名に由来する熊を飼ったのがきっかけだそう。城内の壁や天井はだまし絵で装飾されているので、気が付けるかどうかじっくり見るのも面白い。

 

 チェコが民主化への道を歩み出してから半世紀以上。年内は難しいだろうが、いつか先述の小説を読んでから訪れると、より深みのある旅になるかもしれない。

チェスキー・クルムロフ

●加西 来夏 (かさい らいか)

訪問39ヵ国、好きな言葉は「世界は驚きと奇跡に満ちている」/チェコには元祖ピルスナービールやモラヴィア地方のワインもあり、美味しい上にとってもリーズナブルでした。


(日刊サン 2020.8.7)

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