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大好きは魔法の言葉

幸せにしてくれる子たち

幸せにしてくれる子たち

  元気になりたいときに昔のことを思い出します。今まで出会った大好きな子どもたちのことを思い出します。……

 まさるちゃんは掃除機が大好きです。「まさる掃除機するね」と言って、休み時間になるたびに、掃除機をコンセントにつないで、掃除をしてくれます。そして、ときどき、吸い込み口のところに手を置いて「わあ、わあ、まさる吸い込まれるね」と笑うのが可愛いのです。

 りゅうちゃんはしょっちゅう「おめでとう」って言います。お誕生日だとか、そういう特別な日じゃなくても、たとえば顔を見ると「かっこちゃんおめでとー」って、少し作業をして、それからまた顔をあげて「おめでとー」って言います。最初は「りゅうちゃん、お誕生日じゃないよ」とか「何のおめでとー?」なんて聞くと、りゅうちゃんは首をちょっとかしげて、だまっていました。そして、しばらくしてまた「おめでとー」と言います。気がつくと、りゅうちゃんに「おめでとー」って言ってもらうとすごくうれしい気持ちになっているのです。そうだ、くまのプーさんの本の中にも「何でもない日、おめでとう」って、毎日の中に、うれしいことを見つけて、相手の幸せをお祝いして「おめでとう」というおはなしが出てきます。りゅうちゃんはきっと、いろんなことに感謝していて、毎日はつらいことだってあるけれど、でも、たくさんのうれしいことで彩られていることを知っていて、そして相手の幸せも「ああ、本当によかったね」って思って「おめでとう」って言ってくれてるのかもしれない。りゅうちゃんは素敵。素敵なりゅうちゃん、おめでとう…。今日もみなさんおめでとう。 

 

 あっちゃんが、「かっこちゃん、幸せってどんなもの? 何かもらったら幸せ?」と聞いてくれました。私はすぐには思いつかなかったのです。あっちゃんは朝、テレビに出ていた何億円もする宝石の話をしてくれました。「かっこちゃんはあんな宝石もらったら、どうする。幸せか?」とあっちゃんが聞きました。私は、「そんなに高い宝石を持っていたら、すごくそれが綺麗でも、なくすのじゃないかと心配になったり、盗られちゃったらどうしようと誰かを疑ったり、幸せとは逆みたいな気がするなあ。それよりも、私のために、木を彫って首飾りを作ったり、海で拾った石を磨いて、指輪を作ってくれたら、その方が百万倍うれしいし、そんなものをいただかなくても、やっぱりいつだって本当は幸せだって思うよ」と言いました。あっちゃんは、「かっこちゃんはそういうけど、女は、高い宝石が好きなんやぞ」って言いました。「そっかあ」とこたえたけれど、きっと本当にもらってうれしいものは、お金じゃ買えないんだろうなあと思ったし、私たちは本当はいつだって誰だって幸せなのかな。……

 

 やっぱりつらかったり、悲しかったり、元気がなくなってしまいそうなこともあるけど、でも必ずうれしくて幸せなことも起きるよ。そして、最後はやっぱりうれしいです。

山元 加津子

1957年石川県金沢市生まれ 富山大学理学部を卒業後、特別支援学校の教員と、作家活動をしてきたが、2014年に教員をやめ、2012年に立ち上げた障がいを持つ方もそうでないかたもみんなで幸せになろうと「白雪姫プロジェクト」を立ち上げ、その中で意識障害の方の回復の方法と意思伝達の方法などを伝えている。

http://shirayukihime-project.net

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