日本の少子高齢化問題は、世界的に最も厳しいと言われている。そこへコロナ禍が日本でも蔓延してからは、コロナウイルスの影響により、少子化が加速しているという見方も加わり、人々の不安はさらに募っている。本当にそうだろうか? 入手できるデータを基に、考えてみることにした。
すでに、日本の少子化現象は、過去5年連続減少傾向になっている。2020年に国内で生まれた日本人の子供は84万832人で、前年より2万4407人減少し、1年に誕生した日本の子供は過去最少となった。これは政府の推計よりも、3年早く84万人台に入ったことになる。
少子化は当然婚姻件数と密接な関係にあるため、前年の婚姻件数と対比しながら見ると、確かに婚姻件数は前年より12.3%、52万5490組と急減し、戦後最少となっていたのである。そこへ、新型コロナの影響も重なり、日本の少子化が一挙に加速したのは、事実と言えよう。
日本厚生労働省の人口動態統計によると、2020年の日本人の出生数は、90万人を初めて割り込んで、86万5239人から更に大きく減り、統計がある1899年以降で最少となった。そのため、国立社会保障・人口問題研究所の最新の推計では、日本の一年の出生人数が84万人台になるのは、2023年と見込まれるようになった。
日本の女性一人が、生涯に産む見込みの子供の数を示す「合計特殊出生率」は、2020年が1.84人と、前年から0.02ポイント下がった。しかもこのような低下傾向も、過去5年連続であったという。都道府県で最も低いのは東京都の1.13人であった。そして、最も高いのは沖縄県の1.86人である。
一方の婚姻件数は、前年から一気に7万3517組減った。日本では婚姻件数の減少に合わせて出生数が減る傾向にあり、今後の出生数はさらに押し下がる可能性があるとみられている。これは新たな元号に合わせた前年の「令和婚」の反動による減少が要因の一つであると厚労省は見ているが、疫病専門家のなかには、コロナ禍の影響がより大きいのではないかと指摘している。
他方、死亡人数は137万2648人で、11年ぶりに減少した。死因別に見ると「肺炎」が前年より1万7073人減ったことが大きく、コロナ対策として手洗いやマスク着用などを徹底的に行ってきたことが、効を奏したと言えよう。
上に列挙した数字からも、日本の総人口は確かに減少傾向に進んでいるが、中でも少子化の減少傾向は特に注目されている。幸いコロナ禍の影響は最近大きく改善されてきたようだが、いつまた猛威を振るうようになるかは、油断できない。政府の尽力によって我が国では、予防注射も比較的順調に行われ、今では第3回目の接種を始めようと準備をしている所である。
もちろん、これによってコロナ禍が完全に終息できるとは思えないが、コロナ禍が少子化現象にも影響を及ぼしていると言うのであるならば、この方針が役立つことは間違いないであろう。
今どき ニッポン・ウォッチング Vol.220
早氏 芳琴