国立海洋大気庁(NOAA)と海洋哺乳類センターは、猫の糞を通して広まる寄生虫病であるトキソプラズマ症により10週間闘病を続けたポハクと名付けられた雌のハワイアンモンクアザラシが4月1日に死亡したと発表した。
コナにある海洋哺乳類センターが運営するモンクアザラシの専門医療施設のマネージャーであるメーガン・マギニス氏は「トキソプラズマ症は、ハワイアンモンクアザラシにとっては致命的な病気で、今回のポハクの死亡は非常に残念なことだったが、貴重な研究材料も得られ、これからの治療に役立てたい」と述べた。
ポハクは1月下旬にオアフ島のコオリナ沖で意識のない状態で浮かんでいるのを発見され、猫の消化器系で繁殖する寄生虫であるトキソプラズマ原虫の感染によって引き起こされる疾患であるトキソプラズマ症と診断された。トキソプラズマ原虫の卵は猫の糞を介して水路に放出される。
ポハクはセンターの専門家によって治療を受けたが、食欲不振のため体重が減り続けて死亡した。
ハワイアンモンクアザラシは絶滅の危機に瀕している種で、野生ではおよそ1400頭しか生息していないと推定されており、ポハクのように出産可能な雌のアザラシが生き延びることは、個体数の増加の鍵となる。トキソプラズマ症はハワイアンモンクアザラシの大きな死亡原因の一つで、当局では、絶滅の危機に瀕しているハワイアンモンクアザラシを保護するために、猫の飼い主に対して、猫を室内にて飼育し、糞尿をゴミ箱に捨てるよう求めている。
救出が必要なアザラシの目撃した時には、NOAAのホットライン888−256−9840へ。
(日刊サン 2020. 4.11)