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【世界のこぼれ話】マスクなどの備蓄、期限切れで大量廃棄 アメリカ

新型コロナウイルスのパンデミックが起きた当初、米国の各州ではマスクをはじめとする医療防護具(PPE)の調達に奔走したが、それから3年が経ち、パンデミックの恐怖が和らいだ今、多くの州では使いきれず期限切れが迫っているPPEに対処しているとAP通信が伝えている。

有効期限が過ぎ、需要がほとんどない中、オハイオ州は393千着のガウンをわずか2451ドル(約35万円:142円/ドル換算)で競売にかけたが、結局は期限切れのマスクや手袋、その他の資材とともに、さらに720万着を廃棄することになった。これらの物資には、連邦政府から約2900万ドル(約30億7400万円:2020年平均106円/ドル換算)の資金が投入されていた。

同じような事態が各地で起きている。AP通信が過去数カ月間、50州全てにPPEの備蓄についての問い合わせをしたところ、約半数の回答があった。この調査によると、アラスカ州からバーモント州まで、少なくとも15の州が、期限切れ、余剰、引き取り手の不足を理由に、PPEの山の一部を廃棄していることがわかった。

1800万枚以上のマスク、2200万枚のガウン、50万枚の手袋などがゴミ箱行きとなった。ロードアイランド州では、829トンのPPEがシュレッダーにかけてリサイクルに回された。

米国公衆衛生協会のジョルジュ・ベンジャミン事務局長は、「実にもったいない。準備を怠り、場当たり的な公衆衛生システムをとっているとこういうことになる。この事態は、備蓄品の管理をもっとしっかりしなければならないことを示している」と語った。

爆発的な需要は、アメリカのPPEメーカーを急成長させ、最終的には大暴落させた。AP通信は2020年、各州がPPE、人工呼吸器、その他需要の高い医療機器の売り手市場に数カ月で70億ドル(約7420億円)以上を費やしたことを明らかにした。最終的には、連邦政府がその多くを負担した。

ミネソタ州保健局は、今年、PPEの保持と補充にいくらかの予算を割り当てられた。緊急対応担当者のデブ・ラディ氏は、現在のところ、期限切れのガウンを数着処分する見込みだとし、「今、物資が余っていることに人々は危機感を抱いているかもしれないが、必要な時に物資を調達しようとしていなければ、もっと危機感を抱いていただろう」と語っている。

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画像:Shutterstock.com

 

(日刊サン 2023.12.22)

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