ハワイの過剰摂取による死亡の毒物検査報告書の記載に、動物用精神安定剤であるキシラジンが入っていたとハワイ・ニュース・ナウが伝えている。
キシラジンは「トランク」とも呼ばれ、高揚感をより長く持続させるために他の薬物と混合されることが多い。しかし、この組み合わせは致命的となりうる。キシラジンの使用は数年前から全米に広がっており、麻薬取締当局から警告が出されていた。
ハワイの麻薬取締強化地域プログラムの責任者であるゲイリー・ヤブタ氏は、「アメリカ本土ではフェンタニル製品、粉末、錠剤に含まれているのが見つかっており、そこからハワイに流れてきている」と語る。
ハワイでは2019年にキシラジンに関連した過剰摂取による死亡が1件あったが、その後、2020年、2021年、2022年はゼロだった。しかし今年は、5月にオアフ島で1人、7月にマウイ島でもう1人、これまでに少なくとも2人が死亡している。
オアフ島での死亡事故の検視報告書によれば、ワイアナエの43歳の男性はフェンタニルとキシラジンの混合物によって死亡した。毒物検査報告書には、救急隊員が彼を救おうとしたとき、体内にはナロキソンも確認されたと記述されている。ナロキソン(商品名「ナルカン」)は、フェンタニルの作用を逆転させることができる薬だが、オピオイドではないキシラジンには効かない。
ホノルル救急サービス局(EMS)のジム・アイルランド局長は、「ナルカンで目が覚めず、薬物を使用した後に低血圧になった場合は、キシラジンを摂取したという手がかりになるかもしれない」と語り、救急隊員はその後、患者を救うためにさらなる治療を試みるとしている。
なお、EMSは年内にキシラジンを検出する新しい機器を現場に導入する予定となっている。
キシラジンの使用はプエルトリコで始まり、東海岸に広まった。副作用のひとつに、使用者の手足がひどくただれるというものがある。
この動物用精神安定剤がハワイに上陸したことで、過剰摂取による死亡事故が増えると予想するヤブタ氏は、「間違っていればいいのだが…」と述べ、ハワイは薬物の流行に関して数年遅れていると付け加えた。
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画像:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.11.6)