近年、ハワイ州全土でフェンタニルをはじめとするオピオイドの過剰摂取が増加傾向にあることが問題視されているが、その対処のひとつとして、オピオイドの拮抗薬を無料で配布する自動販売機が登場するとハワイ・ニュース・ナウが伝えている。
使用される自動販売機はアメリカで一般的に見られるドリンクやスナックを扱うものと同じタイプで、それらの商品の代わりにナロキソン(商品名「ナルカン」)が補充される。ナロキソンは、オピオイドの過剰摂取による事故死を防ぐことができる薬だ。
ハワイ・ヘルス&ハーム・リダクション・センター(HHHRC)事務局長のヘザー・ラスク氏は、「ここハワイでは、11日に1人の割合で過剰摂取者が出ている。このような救命薬を必要な人が入手できるようにすることで、その数が減ることを期待している」と語った。
州保健局(DOH)は自動販売機プログラムに資金を提供しており、HHHRCは自動販売機を供給する組織のひとつだ。この自動販売機は、郡刑務所やハラワ刑務所などを含むハワイ全土に設置される予定となっている。
青少年のサポート活動を行う団体「RYSE」のエグゼクティブ・ディレクターであるカーラ・ハウサー氏は、「この自動販売機があることで、若者たちを教育することができ、彼らを死なせることなくともに歩むことができる」と述べている。
保健指導者たちは、ラハイナでの災害の後、この機械は特に必要とされていると言う。ラスク氏は、「過剰摂取は危機的状況や災害時などに発生しやすいことが知られており、残念ながら、マウイ島ではすでに過剰摂取の報告が出ている。この発表とナロキソンの利用が命を救い続けることを望んでいる」と付け加えた。
ナロキソンは鼻腔スプレーで、正確な投与方法についての説明書が同封されている。一般の人でも取り扱いやすく、また、発作などの緊急事態に陥った人が、オピオイドの過剰摂取をしていないのに誤ってナロキソンを投与されたとしても、安全だとされている。ラスク氏は、「これは非常に安全な薬だ。副作用もないし、できるだけ多くの人に使ってもらいたい」と述べている。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.8.31)