マレーシアのコンビニエンスストアにて、「アラー」とプリントされた靴下が販売されているのを発見したイスラム教徒たちは、宗教的感情を害したとして、26日(火)、コンビニエンスストア・チェーンのオーナーとそのサプライヤーの1社に訴えを起こしたとAP通信が伝えている。
マレーシア内で第2位のコンビニエンスストアチェーンであるKKマート・グループの創設者兼会長であるチャイ・キー・カン氏と、その妻で同社取締役のロー・シュー・ムイ氏は、イスラム教徒の宗教的感情を意図的に傷つけた罪について無罪を主張した。
同社は、在庫に同意していない製品を送りつけたとしてサプライヤーを非難している。
イスラム教徒が3400万人の人口の3分の2を占め、中国系やインド系も多いマレーシアでは、宗教はデリケートな問題である。アラーはアラビア語で神を意味する言葉であり、多くのマレーシアのイスラム教徒は、アッラーを我々の足元に置く行為は侮辱であると感じていた。
靴下を提供したサプライヤーの創業者であるシン・ジアン・チャン氏と、取締役である彼の妻と娘も、犯罪を教唆した罪で起訴された。チャン氏は、靴下は中国から大量に輸入されたものであり、検査が不注意であったことを謝罪している。
有罪が確定した場合、5人の被告全員は最高1年の懲役、罰金、またはその両方を科されることになる。
KKマートは24時間営業の大手チェーンで、マレーシア国内に810店舗、約5000人の従業員を抱え、ネパールとインドにも店舗がある。同社は、この危機のためマレーシア証券取引所への上場計画を中止する事態に陥ったと報じられており、損失とチェーン店の評判を傷つけたとして、チャン氏を妨害行為で訴えた。
アンワル・イブラヒム首相の連立政権に属するマレー系政党は、KKマートへのボイコットを何度も呼びかけており、マレーシアの新国王であるスルタン・イブラヒム・イスカンダル氏は、人種間の調和を乱しかねないと警告し、この問題に関して厳正な処分を求めている。また、この問題に関してネット上で無神経な発言をしたとみなされた2人が、イスラム教を侮辱したとして起訴され、懲役刑と罰金刑を言い渡された。
アンワル氏は毅然とした対応を求めたが、同時にこの問題をあまり大きくとらえず、前に進むよう国民に呼びかけた。
画像:stock.adobe.com / Johnstocker
(日刊サン 2024.3.27)
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