新型コロナの大流行によるハワイの公立学校生徒の学力の低下は、中程度から深刻なものであり、本来あるべき状態に回復させるためには「複数年にわたる努力」が必要であるとホノルル・スター・アドバタイザーが報じている。
ニューハンプシャー州ドーバーに拠点を置く能力査定センター(Center for Assessment)の分析によると、パンデミックが生徒の英語教育の成績に与えた影響は「中程度〜大きい」、数学への影響は「大きい〜深刻」であったと、州教育長のキース・ハヤシ氏は報告書を要約したメモに記している。
一方で、良い傾向もある。同センターのシニアアソシエイトのダミアン・ビテベナー氏は、これまでのハワイの復興努力の結果が、他のいくつかの州と比較して「例外的」であるとし、「調べた十数州の中で、ハワイがこの直近の年に示している回復、あるいは学習率は、最も印象的だ」とコメントしている。
州教育局(DOE)は、パンデミックが学力に与えた影響と、DOEの復興努力がどの程度意図した結果をもたらしているかについての分析を行うため、同センターに調査を依頼。DOEは、パンデミックの学習損失に対処するため、州の教育安定化基金連邦資金の大部分を割り当てられ、合計約6億3950万ドルの初等中等学校緊急救済資金(ESSER)を獲得している。
2022年の「スマーター・バランス・アセスメント」(SBA)におけるハワイの生徒の成績は、今回の調査で精査されたものだ。SBAは、ハワイの公立学校の3年生から8年生、11年生を対象に毎年実施され、生徒が大学やキャリアへの準備態勢が「順調」であるかどうかを測定する指標となっている。
SBAの最新の結果では、ハワイの生徒はパンデミックによる低迷から抜け出しつつあるが、パンデミック前のレベル(DOEが望むレベルよりもすでに低かった)にはまだ遅れをとっていることがわかった。
ハワイの生徒の数学の習熟度は、パンデミック前の最後の年のテストでは43%だったが、パンデミック最盛期には32%に急落し、その後2021、2022年度には38%に上昇した。
英語の習熟度は、パンデミック前の54%から、2020、2021年度には50%にスライドしたものの、昨年度は52%にじりじりと上昇している。
報告書では、ハワイの学生はパンデミック後、パンデミック前よりも速いテンポで学習しているとし、また、数学は英語よりも急速な回復が必要であると説明されている。
ビテベナー氏は、このデータから、ハワイの公立学校は、生徒が学習スピードを上げるのに効果的であったと述べるとともに、「州および関係者は、2022年の結果を『第一段階』ととらえ、生徒の学習遅れを取り戻すためには複数年の努力を見積もるべき」と付け加えた。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.3.23)