救急車利用費用 値上げの可能性も
事故や病気など命の危険が迫った時に利用する救急車だが、日本のように全てが税金で賄われているわけではなく、利用するには料金(高い割合で保険によって支払われる場合が多い)がかかる。
オアフ島では911に電話すると警察か消防につながり、消防から火事なのか救急なのかによって消防車か救急車が出動することになる。
警察も消防も市職員であり、市の管理下にある。
救急車はエマージェンシー・メディカル・サービス(EMS)として市の運営であるはずなのだが、なぜか現時点ではハワイ州保健局の管轄になっている。
そして新型コロナウィルスでハワイ州経済が大打撃を受けて州政府は税収入が大幅に減少してしまい大きな苦境に立たされている。
それを受けて現在開催されている州議会ではあらゆる面での予算削減を検討している中、この救急サービスをホノルル市の管理下に移そうという法案が検討されているとKHONが伝えている。
下院財政委員会の長を務めているルーク議員は「最低でもこれから4年間は予算が十分に取れないのだから、市への譲渡を進めていくつもりだ」と述べている。
ホノルル市EMSは4,820万ドルの予算を求めて、4,700万ドルを予算として確保しているが、ハワイ州として隣島のEMSも含めると1億ドルを負担している。
EMSは救急車のサービス利用に対して料金を請求しているが、現在ではその半分しか徴収できていない。
もしホノルル市が管理運営することになれば、料金の値上げでその分を賄うことになるかもしれないという。
また、ホノルルにおける救急車両が古くなって故障が多発しているため、さらに予算が必要な状態だ。
法案は2021年から4年間管理運営の権利をホノルル市に移管するというものであるが、ホノルル市長であるリック・ブランジャルディ氏は公聴会で「市のサービスを州が管理運営しているという現在の状態はおかしいのかもしれないが、この移管によってホノルル市がどのように対応できるのか十分に精査する必要がある」と慎重な姿勢を示している。
ホノルル市議会議長も「州から市への移管については財政面や規制などについてもっと情報が必要なので慎重に検討したい」としている。
写真:Dr. Victor Wong / Shutterstock.com
(日刊サン 2021.2.26)
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