『the rice factory』は、ハワイで初めての日本のお米屋さんとして、厳選した最高級の日本産の米のみを販売している。

　その“厳選ぶり”は、日本国内のお米専門店に勝るとも劣らないレベル。ライスファクトリーの代表、出口友洋氏は、弱冠30代の若さで、香港、シンガポール、台湾、ハワイ、ニューヨークに日本産の米を輸出してきた起業家だ。さらに“海外の人の好みのど真ん中のお米を作りたい”と、自らもファーマーとなり、信州の伊那で“カミアカリ”という米の自然栽培に取り組んでいる。

　ライスファクトリー・ホノルルの横澤尚一ゼネラルマネージャーの説明によると、

「カミアカリは、胚芽部分が一般的な米の３倍もある、突然変異種です。1998年に、静岡県のコシヒカリの田んぼの中で発見されました。発見者は有機農法による稲作を生業とする専業農家さんです。発見したその日は、稲刈りの前日で、トラックに戻ろうとしたその時、一株の稲穂の異変に気付いた。籾の中の米粒を見ると、胚芽部分が通常の３倍から４倍の大きさでした。巨大胚芽米の突然変異を発見したんです」

　栄養の宝庫である、胚芽部分が大きい巨大胚芽米の育種が始まった。稲の育種の専門家の意見を聞きながら、５年６年と育種を繰り返し、食味試験で最も評価の高いものを新品種として農水省に登録。カミアカリと命名されて2008年から本格的な栽培と流通が始まった。

　このカミアカリに惚れ込んだ出口代表は、土と水と太陽だけで育てる自然農法の勉強会を若者たちと重ね、自らが率先して伊那の田んぼで愚直に農作業をしている。

「ハワイでも、伊那で育ったカミアカリをご賞味いただけます。玄米食専用で、巨大胚芽の旨味と栄養を丸ごと味わえます。ブラウンライスの常識が覆るような美味しさですよ」

　筆者もカミアカリファンの一人。水の量を1.5倍にし、浸水時間を２〜８時間と長めにして炊くと、もっちり旨味が引き出され、噛みしめるごとに胚芽の味わいがぐいぐい増してくるのだ。

「当店では、他のお米もすべて玄米のまま低温倉庫で保管し、ご購入時に５分づき、７分づきなど、お好みに合わせて精米しますので、つきたての美味しさを味わっていただけます」

　現在扱っている日本産のお米は８銘柄。味、粘り、ツヤ、旨味の個性などを吟味した、無農薬、有機、低農薬農家指定の厳選米だ。日本からハワイへは、最適温度を保った専用の低温コンテナで運ばれてくる。

“お米も生鮮食品”という一貫した考えのもとに、味と鮮度にこだわった最高品質のお米が購入できるのだ。