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トリビアでTake a Break

トマトは果物?それとも野菜?本当にあった「トマト裁判」

さて今回は、トマトのトリビアで一息ついていただきましょう。食卓でお馴染みの野菜、トマトは、ナス科・ナス属に属するナスの仲間。原産地は南アメリカ、ペルー周辺のアンデス山脈です。日本に入ってきたのは17世紀後半(江戸時代)。当時は観葉植物として扱われ、唐柿(とうがき)、小金瓜(こがねうり)、珊瑚樹茄子(さんごじゅなす)などと呼ばれていました。

 日本の農林水産省はトマトを「野菜」の中でも果実や種子が食用になっている「果菜(かさい)」に分類しており、一般の日本人にもトマトは野菜と認識されています。一方で、アメリカでは半分野菜、半分果物として扱われています。サラダに入っていたり野菜コーナーに売られていたりする反面、イチゴが足りないのかそれとも高いのか、生クリームのケーキに飾られていたり、フルーツポンチに入っていたりすることも。韓国でも半分果物と考えられているようで、デザートや間食として砂糖をかけた輪切りトマトが食されています。英英辞書 “Pocket Oxford English Dictionary”で“tomato”を調べると”a glossy red fruit, eaten as a vegetable or in salads.”と記されています。抄訳すると「つやつやした赤い果物で、野菜として食されたり、サラダに入っていることもある」という感じでしょうか。トマトは果物だが野菜でもあると言いたい。書き手の曖昧な想いがストレートに伝わってくる名文と言えましょう。
 
 このようなトマトに対する曖昧な定義は、1893年、アメリカで「トマトは野菜か、果物か?」が争われた「トマト裁判」の原因にもなりました。当時のアメリカでは、野菜の輸入には関税がありましたが、果物の輸入には関税がありませんでした。そのため、当時ニューヨーク市最大のトマト輸入業者だったJohn Nix & Co.は「トマトは果物」と主張し、税金を払わない方向へ持っていこうとしました。しかし、税金を徴収したい農務省は「トマトは野菜である」と強く主張したため、輸入業者は植物学者にトマトが植物学的に果物であることの証明を依頼し「トマトは開花部分から成長し、種子を含む構造のため植物学的に果物といえる」と説明してもらいました。しかし両者が頑なに譲らないため、論争はついに裁判へと発展。裁判開始から1年後、最高裁判所が出した判決は「野菜」。判決文には「トマトはキュウリやカボチャと同様に野菜畑で栽培される。食事中には出されるが、デザートには出されない」と記されていました。

 



トリビアでTake a Break☕ by 花胡椒

(日刊サン 2020.5.6)

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