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トリビアでTake a Break

平均寿命400歳、最高年齢512歳! 謎の超長寿生物、ニシオンデンザメ

 さて今回は、生きた化石と呼ばれるニシオンデンザメのトリビアでTake a Breakです。数年前まで、地球上で最も長生きできる脊椎動物はホッキョククジラとされていました。中でも最長寿の個体は推定211歳。日本では江戸末期にあたり、徳川家斉が将軍だった頃に生まれたことになります。しかし最近、さらに長生きの海洋生物が存在することが分かったのです。

室町時代生まれのサメを発見 

 2016年、オンデンザメ科最大の「ニシオンデンザメ」の平均寿命が400歳以上にもなることが、ノルウェーのトロムソ大学のキム・プラエベル氏によって発見されました。その後、デンマークのコペンハーゲン大学のジュリアス・ニールセン氏のチームが、グリーンランド近海に生息する28匹のニシオンデンザメを調査。放射線炭素年代測定という方法で目の水晶体に含まれる炭素の量を測った結果、335歳、392歳、512歳という超長寿の個体を発見したのです。 

 2017年で512歳ということは、1505年、室町時代後期の生まれ。1534年に生まれた織田信長より29歳も年上ということになります。筆者は年功序列を重んじる日本人なので、自分より年上のカメやオウムに会うと自動的に謙遜してしまいますが、もし512歳のニシオンデンザメに対峙したらそれどころでは済まされなさそうです。地球上の全生物の先輩として頂点に君臨しているのですから、何も言わずにひれ伏すしかないでしょう。 

 

156歳で成人(成魚)  

 そんな超長寿なニシオンデンザメですが、成長するのが大変遅く、成魚になるまで平均156年もかかります。泳ぐ速さも大変遅く、平均時速1キロ、最高時速は3キロ。尾びれを1回振るのにも約7秒かかります。体長は最大7メートル以上、体重は1トン以上にもなる大型魚で、北大西洋の深海、最深2,200メートルに棲息しています。餌を獲る際は沿岸部に上がり、サケやマス、エイやウナギなどを食べるほか、大型の個体はアザラシなども狩って食べます。死んで海に流されてきたホッキョクグマやトナカイの遺骸なども食べることが分かっており、餌になるならほぼ何でも食べるのではないかと言われています。 

 

年間捕獲数は3万匹から1200匹に減少  

 北極海近辺の先住民族は古くからニシオンデンザメの骨や歯、皮などを利用していました。肉には毒性の成分が含まれているため、食す時は乾燥や洗浄を繰り返す必要があります。1990年代までは肝臓が肝油などに利用されたほか、アイスランドでは「ハカール」と言う発酵食品の材料として使われており、年間約3万匹ものニシオンデンザメが捕獲されていました。近年は、成魚になるまで時間がかかることが判明し、生息数も減少してきていることから、環境保護団体や海洋研究者たちによって保護されています。その甲斐あって、間違って水揚げされるものも含め、捕獲されるニシオンデンザメは年間1200匹までに減少しました。 

 

長寿メカニズムを人間に応用できる可能性  

 ニシオンデンザメの超長寿の秘密は、肉に毒が含まれるため捕食されにくいことや、大変ゆっくりとした代謝、棲息する北大西洋の深海の水の冷たさなどにあると考えられていますが、未だはっきりとは分かっていません。しかし、この先の研究で詳細が判明した暁には、その長寿のメカニズムを応用することにより、私たち人間がより長い寿命を獲得できる可能性があると言われています。

 



トリビアでTake a Break☕ by 花胡椒

(日刊サン 2020.5.19)

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