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デジタル版・新聞

コラム 来夏の映画観ようよ

トムとジェリー

 「“トムとジェリー”の最終回って、知ってる?」。いつだったか、友人がそんな話題を振ってきた。いや、と言うと続けて内容を教えてくれた。多くのイエネコがそうするように、死期を悟ったトムは姿を消し、退屈になったジェリーは別ののろまそうなネコを見つけ、いつものようにイタズラを仕掛けるのだが―。

 

 ピアニストとして成功することを夢見て、キーボード片手にニューヨークへやって来たネコのトム。セントラルパークで演奏を始めるものの、なんと早速ライバルのネズミ、ジェリーが現れトムを邪魔する。一方、若い女性ケイラは、持ち前の頭の回転の良さを活かして高級ホテルのスタッフの職を手に入れる。ちょうど世界的に有名なセレブカップルの結婚式が行われる予定があり、そのイベントを最高のものにしようと奮闘するが、ホテルにジェリーが住み着き、トムもやってきて大騒動を巻き起こしてしまう。

 

 懐かしく、ラブリーなこのコンビ!実写化というので、はて本物のネコとネズミをCGでどうにか出演させるのかと思いきや、二匹はアニメーションそのまま。それどころか、通行人が散歩をさせている犬やオフィスで飼われている金魚まで、全ての登場動物がアニメーションで可愛らしすぎて、どうしても生身の人間たちやストーリーそのものより目がいってしまう。が、主役はトムとジェリーなのだからそれでいいのだ、と言い聞かせた。華やかなマンハッタンの舞台に負けじと映える二匹がSNSや最先端のドローンを駆使するなど今の時代に上手く適応しているが、トムの相変わらずの大仰な仕掛けの罠や、チーズのいい匂いに誘われて恍惚とするジェリーのシーンに思わず、そう、これこれ!と良い意味でオーソドックスなドタバタ劇を繰り広げてくれてホッとした。

 

 さて、冒頭の話を最後まで聞かされ思わず泣いてしまったのだが、実は公式にはそんなラストは存在せず、誰かが作ったいわゆる二次創作物らしい。本作を観たらなおさら、この先もずっと二匹の追っかけっこを観続けていたいと思うはず。

●加西 来夏 (かさい らいか)

映画は年間100本以上視聴、訪問国は39ヵ国~の旅する映画ラヴァー/N.Y.の地下鉄構内で見たネズミが巨大で驚いた記憶があります。ジェリーみたいなのだったらいいのですが…。

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