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とどけMahalo! アメリカ本土便り

ハワイで日本語教師を20年余りして(27)

ハワイで日本語教師を20年余りして(27)

 人と話していて、熱心に聞いてくれると嬉しくて話す方にも熱が入るものです。学校の授業もちょっと似たような所があり、学生の反応は教師にとってとても大切です。 

 

あるインド料理店での出来事 

 以前日本へ帰国した時、インド料理店へ行きました。そこで食事中、仕事帰りと思われる人達が6人ほど現れ、その中には英語を話す人が一人混じっていました。時折彼らを観察していると、どうやらこのレストランで食事しながらの英語の勉強のようです。食事もそこそこに日本人は熱心に英語人と思われる人の話を聞いています。話の内容はわかりませんが、聞き手の日本人達は「うん、うん」と首を上下に振るだけで、誰一人として、「そう」「それで」と言ったような、言葉を発しなかったのです。その光景を見て、自分が英会話習いたての頃を思い出しました。日本人は反応に乏しいので、英語教師からよく「もっと反応してくれ」と言われたことです。あれから40年ほど経ちましたが、日本人の英語への態度にあまり変化をないのでしょうか?その光景は昔の英会話習いたての自分を見ているような気になりました。 

 

どっと疲れた授業 

 話変わって、自分の日本語のクラスで、どういうわけか学生が全く無反応の時がありました。週明けの早朝のクラス、連休前の金曜午後のクラスでは時折そんなことがありましたね。そんな時、教師は学生の反応のなさに焦ります。自分の説明が悪いのか、話が単調だからか、いろいろ思いを巡らせて、不安になったりもしました。そんな授業の後はどっと疲れましたね。逆に、クラスに活気があって、よく笑ったり、反応してくれた場合は何か達成感がありました。そんなことを考えてると、あのインド料理店での日本人の反応では話し手の英語人は疲れたろうなと思うのです。もちろん話には専門家とか上司からの忠告や教授(教え)を一方的に受けることもあります。そんな際は、話しが一方通行になることがありますが、そんな際でも聞き手が「それは知りませんでした」とか「そういった見方があったんですね」など反応があれば、話し手も話しやすいはずです。 

 

いい質問をすること 

 学校の授業とか何かの話の最後に「何か質問は」と言われることがあります。その質問から聞き手の理解力や関心度などが測られることがあります。時には的を得た質問で、さらに面白い話に発展したり、有意義な話になることもあります。それと質問の中には話し手の不明瞭な点や説明不足を指摘する「いい質問」もあります。自分もうっかりあわてて授業を進めて、重要なことを話し忘れたり、明確に言わなかった時もありますが、そんな時はそんな指摘は有難かったです。人はもう知っていたり、決断していても、わざと質問することもあります。確認の意味でする質問です。あの日本のインド料理店で見た光景は質問や反応の大切さを改めて思い知らされたました。

とどけMahalo! アメリカ本土便り No.72

大井貞二(おおいさだじ)

1988年にハワイに移住。地元の私立校で日本語を教える。その後、ハワイ大学大学院を経て、ハワイパシフック大学(HPU)にて世界中からやってくる学生に日本語を教え、最近退職。現在アメリカ本土に居住。

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