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ドクター國陶ゆかりの終活コラム

「ゼロ葬」と「永遠葬」

「ゼロ葬」と「永遠葬」

♫お墓の前で泣かないで。私はそこに眠ってなんかいません♫ 

 この「千の風になって」という歌は、直葬(お通夜や告別式無し)やゼロ葬を提唱する人が、よく引用する歌です。「私は、風になって、光になって、雪になって、あなたを見守ります」という言葉で綴る歌を、お聞きになった方も多いでしょう。 

 この歌は「告別式だけでなく、お墓もいらない(遺灰は火葬場に置いてくる)」と主張する島田裕巳さんという宗教家の「0葬―あっさり死ぬ」の著書の主旨を、代弁しているようです。昨今、葬儀があまりにも高額で、残された遺族に負担だと考える人々は、ピンコロリの逝き方の延長線上に、直葬やゼロ葬を考えるようです。人生だけでなく、葬儀も死後も、断捨離で、ミニマリストでいこうと言うことですね。 

 一方、冠婚葬祭の伝統を守り「永遠葬」を重んじる人々は、死者を軽んじるゼロ葬などとんでもないと、反論を唱えます。葬儀とはその人の人生と死だけでなく、遺族のためでもある不死のセレモニー、亡くなった方も祖先も含めて、きちんと祀るべき。家族以外の参列者も心の中でお別れすることは、残されたものの当然の義務だと考えます。しっかりとした葬儀がありお墓があることで、時が経ってからも、故人へ続く想いを守ることができる、したがって、絶対に必要だ!と主張します。 

 この記事をお読みの読者の方も、ハワイなど外国暮らしも長く、先祖代々の墓の維持が次第に難しくなっている方も多いでしょう。伝統は重んじたいが、同時に、直葬、ゼロ、とまで行かずとも、簡素化した家族葬(家族だけの参列告別式)の考えが、魅力的に思える方もいるのでは。終活の一環で、自分はどうしたいかを家族に伝えておくのも、伴侶や子供たちへの責任ある態度と言えるでしょう。 

 ちなみに、「千の風になって」は、日本でよく知られている歌ですが、実は、原作者はあるアメリカ女性。知人が、ナチスの犠牲になった、ユダヤ人の母親を葬儀で弔うことができずにいたため、その知人のために、Do not stand at my grave and weepという言葉で始まる、この詩の原作を書いたと言われています。

 

 

ドクター国陶ゆかりの終活コラム No.13

 

【プロフィール】

Institute of Transpersonal Psychology 博士号修了。ハワイのWEBテレビ放送局、THINKTECH HAWAIIで日本人コミュニティで活躍する人々を紹介する番組「Konnichiwa Hawaii」でパーソナリティーを務める。本業はライフコーチ・催眠療法士。

 

メール [email protected]

WEBサイトhttp://www.yukari-kunisue-coaching.com

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