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ハワイでの終活

教えて! ハワイでの葬儀と旅行プロテクションプラン

教えて! ハワイでの葬儀と旅行プロテクションプラン

日本では従来の暗いイメージは遠のき、いまや終活カフェができるなど、積極的にメディアでも取り上げられる終活。家族のあり方が多様化するハワイで、まだまだ馴染みの薄い終活についてすこしでも多くの方々に興味を持っていただきたい。そんな願いを込めて日刊サンがハワイで役立つ終活情報をシリーズでお伝えしています。

 コロナ禍においても大切な終活。これまでエンディングノートや生前墓などについて触れてきたが、今回は気になるハワイの葬儀事情について花水さんにお話を伺った。 

 日本ではなじみのあるお通夜や告別式などの流れや料金設定も、ここ異国の地ハワイではどのように異なるのか、よくご存じないという方も多いのではないだろうか。いざというときに慌てなくて済むような葬儀の計画が、とくに海外在住者の終活には重要となってくるようだ。 

 

ハワイでも急増中の火葬 

 かつてアメリカの葬儀と言えば、ハリウッド映画に出てくるような棺を埋葬する土葬が主流であったが、「いまは土葬よりもコストがかからずスペースも取らないという理由から、ローカルの方にも火葬が好まれるようになりました。土葬の選択肢ももちろんございますが、ハワイでも日本人の方はほとんど火葬をお選びになります」と花水さん。  

「日本ととくに違う点は、一般的にハワイではご親族が本土や海外在住の場合が多いので、参列者が集まるまで日本の葬儀より時間がかかります。火葬場の事情や文化的背景もあり、お通夜やご遺体をご自宅で保管といった習慣はなく、告別式や埋葬まで早くて約二週間、場合によっては二ヶ月以上かかる場合もあります」それ故に葬儀のタイミングや規模には日本より個人差があり、どんなニーズにも応えられるようにバレー・オブ・ザ・テンプルズでは、三つの火葬プランから選べる。 

 まず、ビューイング(入棺された故人との対面)が含まれる「シンプル葬儀」というパッケージプランが用意されている。「シンプル葬儀」ではエンバーミング(防腐加工)や見繕いなどのきめ細やかなサービスが受けられ、日本の告別式に近い葬儀を行うことができるそうだ。 

 一方「シンプルメモリアル」プランではビューイングはなく、骨壷が置かれた状態での告別式となる。シンプル葬儀プランでもメモリアルプランでも、会場は三つのチャペルから選ぶことができる上に宗教を問わないそうで、無宗教はもちろんのこと、キリスト教の場合は十字架がかけられ、仏教であれば仏壇をリクエストすることもできるので個々のニーズに合ったセレモニーが可能。

 「両プランともに通常時はラナイでの飲み物サービスが含まれておりますので、ケータリングなどを利用すると葬儀後に移動することなく霊園内での会食をお楽しみになることができます。現在はコロナ禍でドリンクサービスはお休み中ですが、普段はローカルの方のセレモニーってお葬式の雰囲気じゃなくてとても明るいんですよ。服装も日本よりずっとカジュアルです」 

 花水さんに日本人に人気のプランを聞いてみた。「参列者の少ない日本人の方々がよくお選びになるのは三つ目の選択肢であるセレモニーのない火葬のみのプラン、いわゆる直葬です。どのご葬儀プランでもバレー・オブ・ザ・テンプルズにお墓をお持ちの方は埋葬はいたします。その際、お墓の近くに移動式テントを設置し、10席まで椅子を並べて簡単な埋葬式をすることもできますので、とてもフレキシブルで費用も抑えられます。こちらはドリンクサービスはついておりませんが、ご自分でレストランを予約されたりして埋葬の後にお食事をなさる場合もあるようです」 

 三つのプランにはランクがあり、各パッケージごとにプレミアム、スタンダード、ベーシックと更に細かく分かれているので、予算とニーズに合わせてじっくり検討しよう。 

ハワイならではのオプション 

 バレー・オブ・ザ・テンプルズでは、前述のプランに無料で含まれている「シグネチャーサービス」というユニークなオプションがあり、葬儀をよりハワイらしくカスタマイズすることができる。一番人気は鳩を飛ばすセレモニーで、魂が地上から飛び立ち天に戻っていく、旅立ちを象徴する感動的なシーンが見られる。「そして最近需要が増えているのがウェブ上のライブサービス。各地で集まりや移動が制限される中、参列できなかった方達がネットで葬儀の様子が見られるとあって、いまの時代にぴったりのオプションです。またローカルの若い方が亡くなられた場合、お友達とお揃いで記念のリストバンドを手首にする光景も見られるんですよ」 

 ほかには写真や動画を誕生から晩年までのスライドショーにしてもらえるDVDのサービス、故人の写真を油絵のようなタッチの肖像画に仕上げてくれるメモリーポートレート、28枚の写真が一枚の額のコラージュになるメモリアルコラージュなどのオプションが多数用意されている。 

「散骨を希望されている方には、散骨前にティーリーフに遺灰を包み南国の花で華やかにラッピングする『アフイホウ』というサービスがご好評をいただいております」。アフイホウとは「また会いましょう」という意味のハワイ語。死は永遠の別れではないというポジティブなメッセージが込められている。 

 「それからすべてのプランにはメモリアルパッケージという商品が含まれております。例えばプレミアムパッケージでは、カードやしおり、フォルダやキャンドルといった故人の写真がプリントされた記念品を多数ご用意させて頂くので、ご親族やご友人様に思い出の品として配ることもできます」 

万が一の時も安心な 終身会員制の旅行プロテクションプラン 

 お墓、そして葬儀のプランニングを終えたら、いよいよ終活も最終段階。日本や米国本土、ハワイ諸島との往来など、なにかと旅する機会の多いオアフ在住者は、じつはオアフ島以外で亡くなるケースも多い。「せっかく生前に準備をしてお墓や葬儀代を払い終えていても、万が一日本で急に亡くなってしまったら、ハワイに遺灰を送る為に火葬と搬送費用だけで更に数十万程かかってしまうんです。旅先によってはもっとコストが嵩む場合もあります」と花水さんは説明してくれた。 

 費用の問題だけではない。国によっては言葉の壁が大きく、ただでさえ混乱する状況の中、火葬や輸送の方法を模索するのは遺族にとって大変なストレスとなる。 

「そのような場合においての経済的、精神的負担を軽減する為の旅行プロテクションプラン『セーフリーホーム』という新たなプランが登場しました。以前はアメリカ国籍および市民権保持者のみ対象でしたが、今年の二月からアメリカ永住権保持者にもご提供できるようになりました。アメリカに在住して、これにさえ加入していれば世界中どこで亡くなっても車の保険のように電話一本で手続きも代行してもらえる上に、最高1万ドルまで費用がカバーされます。私はメンバーシップカードをいつもお財布に入れています。万が一旅行中にコロナなどでお亡くなりになってもカバーされます。また基礎疾患のある方が病気で亡くなった場合は90日間の待機期間があるので、早めに加入されることをお勧めします」 

メンバーシップカードのサンプル

 ちなみにこの旅行プロテクションは、お墓や葬儀をバレー・オブ・ザ・テンプルズで購入していなくても、独立したプランとして購入することが可能だそうだ。その上、分割払いも可能で、一括だと495ドル。自宅から75マイル離れた場所ならどこでもカバーされる。一切の煩わしい手続きから解放される、画期的なプランである。 

 海外の終活においては旅行プロテクションプランはもちろんのこと、葬儀の生前準備も重要になってくる。お墓同様、葬儀代も平均して年々約10パーセントほど上昇しているが、バレー・オブ・ザ・テンプルズでは葬儀プランを生前購入することによってディスカウントが効くので、事前準備は節約になる上に心の平穏も得ることができる。また、同霊園はハワイ政府から必要不可欠な事業として認められている為、ステイホーム期間中でもオンライン上でミーティングや全ての手続きを行うことが可能だそうだ。外出自粛やテレワークで多くの方が普段より時間に余裕のあるいまこそ、終活の最終章として葬儀のプレプランニングを始めるのに最適な時期かもしれない。

 (文 シズカ・リード・ウエノ)

(日刊サン 2020.09.04 ハワイでの終活vol.20)

今回のナビゲーター

終活カウンセラー 花水恵美さん

長年のファイナンシャルアドバイザーとしての経験を生かし、現在はバレー・オブ・ザ・テンプルズのスーパーバイザーとして活躍。終活の全般的な悩みから具体的な相談まで日本語でも安心してできると好評。自身も終活・事前準備の一環として夫婦の墓、葬儀プランそして旅行プロテクションプランを購入し、終活の最終章の準備を整えている。

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