厳しいベーリング海でスケソウダラを追う漁師たちの危険な操業が続く中、アメリカは安全操業と経削減を狙って世界最大のハイテク漁船(アラスカ・オーシャン、全長115m、総重量7400tを建造しました。航海日数は12日ほど、一日の漁獲量が200トン、船内では乗船員約150人が働き操業をしています。スケソウダラは船内でフィレやすり身に加工され、パッキング、冷凍まで行われます。港に帰ってきた来たときには、すでに 品ができているわけですね。
ところで、カニカマの世界一の生産国というと、日本でもアメリカでもなく、バルト三国の一つのリトアニアになります。スケソウダラは北大西洋、リトアニア近海でも獲れます。生産世界一になる大きな要因として、カニカマ最大の消費地が近場のヨーロッパであることが挙げられます。世界一のカニカマ消費国がフランスであり、2位がスペインという具合で、全ヨーロッパでずっとカニカマブームが続いていて消費が伸びているのです。
そうなると市場原理で、消費地に最も近い北ヨーロッパで生産するのが断然コスト有利となり、市場競争に勝てるわけです。
ところで、カニカマを製造する機械も日本発で、世界の70%のシェアを持っています。もちろん、リトアニアにも進出しています。こうして日本の製造装置が海外に輸出されることで、日本生まれのカニカマもまた海外で生産され、日本が世界一の生産の座も奪われて行く構図になって行くのですね。こうした展開は、例えば半導体や液晶なども海外に追い抜かれていったことと似ています。
カニカマの人気は、食感や風味もカニに似ていること、便利で扱いやすく、さまざまな調理にも優れていることなどが挙げられます。さらに、低カロリーで安価でもあり、原料となるスケソウダラがサスティナブルな魚であり地球にも優しいということなど、ヨーロッパ市場が惹きつけらる理由が多くあるといえるのでしょう。フランスでは、カニカマと野菜類をパンに挟んでサンドイッチに、また酒のつまみ、スナックとしてそのまま食べたり、サラダやオードブルの盛り合わせなどにも出されています。加えてパスタ料理の具材にも、厚鍋容器に入れオーブンで焼く料理にも使われ、ヨーロッパ人の食膳を賑わしています。
日本では”カニカマ”というと、定番として握り寿司や軍艦で回転寿司店でいただく程度ですが、海外ではどんどん進化し続け、日本生まれのカニカマは大活躍しているようですね。