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【年金|国籍よろず相談】日本の年金の課税国について(後編)
前編では日本の年金の二重課税を避けるために「税条約に関する届出書等」の書類を日本年金機構に提出する必要があること、一方米国にお住まいで日本の年金受給者の大半の方は、「税条約に関する届出書等」の提出が必要ない方であることをご説明しました。
後編では届出書の代わりに「租税条約に関する申立書」を提出すれば良いことや実際の課税の計算方法等を説明いたします。
日本年金機構から「租税条約に関する届出書等」の書類提出を求められた時は、ご自分の年齢と年金額を確認し、提出が必要かどうかを判断することが大切です。提出の省略に該当される場合は、「租税条約に関する申立書」を提出するか、“年金額が源泉徴収対象額以下なので、租税条約に関する届出書等は提出しません”と言う申立の手紙を添え、日本年金機構に返却してください。
年金の申請手続き中の方から、自分の年金額は少額なので「租税条約に関する届出書等」の提出は必要ないと思うが、年金事務所の担当から強く提出をもとめられ、提出しないと申請が進まず困惑しているとの相談が以前から少なからずあります。これは年金事務所の担当者の理解不足によるものです。その場合はこの記事を思い出して届出書の提出が必要ないことを説明し「租税条約に関する申立書」を提出して下さい。
なお65歳未満で年金額が60万円未満であったため「届出書等」の提出が不要であった方でも、65歳になると老齢基礎年金が支給開始となりますので年金額が増えます。このために提出しなければ源泉徴収される場合もありますのでご注意ください。
4.課税額の計算方法
源泉課税は年金額が60万円か114万円を超える金額に対して20.42%(0.42%は復興特別所得税)が課税されます。例えば65歳以上で年金額が120万円の方の場合は120万円から114万円を差し引いた6万円に20.42%の税率を乗じた12,252円が年間の課税金額となります。実際は2か月に1回の支給の都度源泉されますので支給時の源泉税の計算は20万円(年金支給額)―19万円(控除額)=1万円、1万円×20.42%=2,042円となります。2,042円が年間6回源泉されますので年間で12,252円です。
5.その他
①遺族年金・障害年金は非課税ですので、租税条約の手続きは不要です。なお米国の遺族年金は非課税扱いではありませんのでご注意下さい。
②また、国家公務員・地方公務員の退職共済年金につきましては租税条約上の源泉徴収免除の取り扱いはありません。年金額が基準を上回れば源泉徴収されます。
市川俊治
民間企業勤務後、外務省改革の一環として始まった領事シニアボランティア制度の第1期生としてNY更にSF総領事館に合計6年間勤務。その官と民の経験・知識を基に海外在住者の年金・国籍・老後の日本帰国の問題のアドバイスを行っている。
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