サンアントニオへ着いて、すぐ行きたかった所……それは日本の食料品店でした。
「東京マート」と「みんなのグローサリー」
テキサスのサンアントニオにはうれしいことに、二軒の日本の食料品店がありました。一軒は「東京マート」と言って、日本料理店に隣接していて、その料理店の敷地の角にひっそりと立っていました。以前は、レストランの従業員とかの住まいだったり、倉庫だったのでしょうか? お店としては普通の民家のようで、古ぼけて、いかにも時代を感じさせる建物でした。場所も大きな通りに面しているわけではなく、気を付けていないとうっかり通り過ぎてしまうほと目立ちませんでした。
もう一軒のお店は「みんなのグロサリー」という店で、店舗は新しく、東京マートの四倍以上の売り場面積があり、食べ物の種類も多く、ぬいぐるみとか日本の文房具までありました。この店は数人の日本女性がテキパキとあたかも日本にいるように店内で働いていました。こうしたお店が海外にあるのは日本人にはありがたいですね。私はしばしば麺類とか大福など甘い物とかを買いにでかけました。それと久しぶりに漬物を食べたり、ウイスコンシンでは手に入らない紅ショウガを買って帰りました。
こうした日本的なお店があるということは、近くに日本人がある程度住んでいるのでしょうか? この「みんなのグローサリー」のお店で会計を済ませると、レジの係りの人から「あまりお見かけしませんね。大学でご研究ですか?」と聞かれました。どうやらこの辺りには病院や大学や陸軍基地の関係者が出入りしているので、そんな風にきかれたのでしょう。「ウイスコンシンから来てます」というと、驚かれて、いろいろウイスコンシンのこととかテキサスで何をしているのかなど話して、会話が弾みました。
もう一方の「東京マート」のレジ係は日系人のような人で、こちらから「この店には遠くから来るお客さんがいますか?」と尋ねても「さぁ」とそっけない返事。それで「僕らはウイスコンシンから来たんですよ」と言っても無反応でした。まあ、いろんな事情があって、そんな反応をしたのでしょうが、自分の店にどんな客が来て、どんな物を欲しがっているかは関心を持っているべきって思います。
この店に来る人の中には久しぶりに日本の商品を見る人はいるだろうし、結構遠くからやってきている人もいると思われるのです。この店は小さくて目立たない店ですが、店内には私達が欲しい物がいっぱいあり、多少遠くても行きたい店です。このレジ係の人には、久しぶりに「大福」とか「焼きそば」を食べる私の気持ちはわからないかもしれませんね。
とどけMahalo! アメリカ本土便り No.126
大井貞二(おおいさだじ)
1988年にハワイに移住。地元の私立校で日本語を教える。その後、ハワイ大学大学院を経て、ハワイパシフック大学(HPU)にて世界中からやってくる学生に日本語を教え、最近退職。現在アメリカ本土に居住。
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