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デジタル版・新聞

コラム 来夏の映画観ようよ

リービング・ラスベガス

 新入社員の頃、飲み会で酔っ払った上司を引きずって帰った。「何だよぉ、別に大丈夫だからさ~ハハッ」と当人は上機嫌で意識もあったが足元がおぼつかない。案の定、深夜の山手通りを渡っている途中でゆっくりと膝から崩れ落ちた。そこへ大型トラックが…咄嗟に両手を広げ、車を避けさせた。

 ハリウッドで脚本家として働くベンは、妻子と別れた孤独感から以前にも増してアルコールに依存し、一日中酒浸りになっていた。まともに仕事も出来なくなり、勤務先から解雇を言い渡されたのを機に自宅を処分、退職金と酒だけを手にラスベガスへと向かい、そこで静かに最期を迎えようと決める。しかし、偶然出会った美しい娼婦サラに惹かれ、共に暮らすようになり―。

 断酒中の人にはキツい作品なので要注意だ。主人公ベンがウキウキしながらスーパーマーケットでボトルを買い込む姿はもちろん、昼夜も場所も問わず水替わりに酒を飲んでいるので刷り込み効果は抜群、ちょっと一杯…となり兼ねない。プールサイドのシーンはお気に入りで、あんな風に恋人と戯れながら飲む酒はさぞ美味かろうと思ってしまった。

 というのは、彼のように朝起きてモーニングウォッカはさすがにないものの、自らもアルコールに頼っていた時期があり、劇中の描写で共感する部分が多々あったからだ。

 客観的に見ればアルコール依存症の男と娼婦の恋物語で、所詮はみ出し者同士の傷の舐め合いじゃないかと結末を含め批判もあるかもしれない。しかし、ベンという人間を決して否定せず、すべてをありのまま受けとめる天使のようなサラの愛の深さに、美しいと感じ心を揺さぶられるのではないだろうか。なお、原作者は自らもアルコール依存症と闘っている最中、映画化決定の二週間後に三十四歳の若さで自殺した。

 昔の上司を出しにしたが、身近な人のためにも、自分自身のためにも、言うまでもなくアルコールは適量が一番。現在、外出自粛生活の中、自宅での飲酒量が増加していると社会的に問題視されており、戒めの意味であらためて鑑賞した。

加西 来夏 (かさい らいか)

映画は年間100本以上視聴、訪問39ヵ国〜の旅する映画ラヴァー/在宅時間が長くなり料理をする時間が増えました! が、ニシンの刺身となめろうを作ったら三日間アニサキス(寄生虫)に苦しみました…。

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