“聖杯”や“聖櫃”…聖書にまつわる遺物は実在するのか?もちろん、そうだと言い伝えがあり既に保存されているものはあるが、伝説のように不思議な力を持つ特別な秘宝のこと。それらを追い求めるアドベンチャーシリーズ、“インディ・ジョーンズ”は好きな映画の一つだ。
お気に入りは三作目の“最後の聖戦”で、考古学者のインディ(ハリソン・フォード)が長寿になれる聖杯を探す冒険に出る。その聖杯が隠されていたのが、ヨルダン・ペトラ遺跡の“エル・カズネ”だった。あの見事な神殿を実際にこの目で見てみたい―小1時間ほど岩肌が剥き出しの渓谷を歩き、やっと岩の隙間から見えた瞬間は「映画通り、本物だ!」と期待を裏切らない感動が湧きあがった。
広大なペトラ遺跡は実は未だ発掘調査中で、全体の15%程しか進んでいないらしい。エル・カズネよりもっと奥まで行けることは行けるが、とても体力が持たないと思った。ただ、簡素なツアーでも円形劇場や岩をくり抜いて作られた王の墓など、独特な文化を垣間見れる。お土産屋さんには映画のポスターやラクダと砂漠の絵が描かれたサンドボトルもあったが、これは珍しい!と購入したのが乳香(フランキンセンス)といういい香りの樹脂のセット。宗教儀式によく使われるそうで、8年以上経過しているのにまだ香りがする。焚くと良いそうだが勿体なくて試していない。
日帰りツアー、というのは宿泊地がイスラエル南部、紅海に面するリゾート地エイラートだったからだ。すぐ西はエジプト、すぐ東はヨルダンの狭間というロケーションで、両方に行ける立地が良くて選んだ。死海も近く迷ったが、塩分濃度30%だと傷があったら染みるし大好きな魚が居ないのでこちらをチョイスした次第(写真の山側がヨルダン)。
ちなみに、なんと来年7月にはインディ・ジョーンズの新作、第5作目が公開予定だそう!007のダニエル・クレイグ同様、ハリソン・フォードはこれで同役を引退するとのこと。最後の冒険の舞台がどこになるのか、今から楽しみだ。
●加西 来夏 (かさい らいか)
訪問国は39ヵ国、好きな言葉は「世界は驚きと奇跡に満ちている」/エイラートでは日本人だからか珍しがられ、学生達に囲まれて写真撮影になりました。いや、それとも豹柄の帽子が珍妙に見えたのか…今となっては知る由もありません。
(日刊サン 2021.12.3)