美味しいマグロを求めて Part2
前回に続き、Part2として、「値段に合った美味しいマグロを選ぶ時の注意」について述べてみましょう。前回は、マグロを手にとって目で確認することのできる“サシ”について説明をしてみました。
今回は、さらに意識してじっくりと見てただきたいことは、業界では“血飛び”とも言いますがマグロに現れる“シミ”のことです。ところで、マグロのシミとは、ご婦人方が気にするお顔に出来るシミとはちょっと違います。
マグロのシミは、漁獲時にマグロが暴れることによって毛細血管が破れて内出血をおこすことによってできてしまいます。実際に業者さんは、マグロを解体してサク取りなどをする際に、マグロの表面に小さく血が飛んでいるのを発見すれば、このようなマグロの部分を取り除き、まずは店頭に置くことは控えています。
マグロの漁法にもよりますが、特に巻き網漁法の場合は多くサシが出るようです。それはマグロを網の中に囲い込んだ時に、網の中で騒いだマグロが突進して互いぶつかったり、また網に絡んだりすることで起きてしまうものです。またマグロを船上に釣り上げてからもバタバタすることもあります。こうした状況にあったマグロは、どんなに鮮度が良くても解体してみれば身がバラバラと割れてしまったり(“身割れ”と呼ぶ)、表皮に近い位置の身に内出血があって、酷いときには血の固まりができている場合もあります。
ここまでも酷くなくても、破れた毛細血管から滲み出だした血が、赤く点々と切り身の表面に現れたりもします。これがいわゆるシミ、または“血栓”と呼ばれるものです。
こうした状態のマグロは、業者さんの方で不良品として店頭には並べないようにはしています。それでもやはり、なんとかロスを無くして商品として売りたいところですので、いちいちピンセットで破れた血管を取り除いたり、ペーパータオルで懸命に滲み出ている血を拭き取ったりします。特に、マグロの皮目の裏の身の部分や、尾の身の部分にシミがおこりやすいですね。時間が経つと、こうした血が滲み出ている部分の身は、変色も早く進み臭みも生じてしまいます。
業者さんにとっては、できるだけ安価なマグロを仕入れたいものです。一本釣りのマグロよりも、一気に大量に確保できる巻き網漁のマグロの方が安価で求めやすくなります。また日によって大漁でマグロの水揚げがあったときなどは、船上での漁師さんたちは、処理が間に合わなくなりますので、どうしても“うたれマグロ”が多く出てしまいます。
味自体にはそんなに影響しませんが、しかしやはり見た目は良くなく、気になってしまいますね。