選手村の食材
東京2020オリンピックは、金27個、総数58個のメダル獲得の結果を残し8月8日に終了し、8月24日からはパラリンピックが開催されています。
大会期間中の世界各国の1万人を超えるトップアスリートたちの生活拠点は”選手村”となります。外出や外食が禁止させられているなかで、選手たちの生活を支えている場所になります。そこで選手たちにとって最も楽しみが食事のひと時となるでしょう。二階建ての食堂に3,000席も用意されていて、約700種類の世界のメニューが揃えられたそうです。
日本食はもちろん、ハラール、ベジタリアン、グルテンフリーコーナーとかなり充実していたようです。世界の選手たちは、それぞれにユーチューブで紹介もしていますね。食堂の各席はアクリル板で覆われていて、コロナ対策にはかなり神経を使っています。施設内の空調も1時間に3~4回入れ替わる換気機能を完備させています。
2020東京オリンピックには、SDGs(Sustainable Development Goals・持続可能な開発目標)の貢献と追求を謳っていて、選手たちへの出される食材にそのコンセプトが生かされていて、農産物、畜産物、そして水産物は、持続可能な食材の調達しています。欧米は日本よりも重要視していますので、主催国である日本はかなりの期間をかけて準備してきました。
水産物の調達基準に、国際基準で浸透している「MSC(Marine Stewardship Council・海洋管理協議会)」、「ASC(Aquaculture Stewardship Council・水産養殖管理協議会)」を設定し、さらに日本発の認証スキームである漁業のMEL(マリン・エコラベル・ジャパン)と、養殖業のAEL(養殖エコラベル)の魚類となります。
MSCやASCのラベルは、ハワイや本土のスーパーで一般的に浸透していますが、日本国内の水産事情をみると、MSC、ASCの認証を受けた漁業が少ない状況です。ホタテガイ(北海道)、アカガレイ(京都府)、カツオ(宮城県)、ビンナガ(宮城県)、カキ(兵庫県)、ブリ(宮城、鹿児島、大分)、カンパチ(大分、鹿児島)、真鯛(愛媛)、銀鮭(宮城)、サーモントラウト(千葉)、サクラマス(山形)、ニジマス(青森)、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)とヤエヤマクロレラ(沖縄)など限られた数だけなのです。しかし、日本版のMELが2020年間に合うように承認を受けたので、加えて供給できるようになりました。
2020東京オリンピックを機会に、日本の漁業者、流通、販売業者、そして消費者も含めて、「持続可能な漁業」の意識を高める必要があるでしょう。日本が世界に誇る「おもてなしの心」や、伝統的な日本食や寿司の食文化があっても、「持続可能な食材」への無頓着さゆえに日本の水産業はかなり遅れてしまっています。水産国日本、ガンバレ!