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世界のマグロを追いかけて男の旅 こぼれ話

AIマグロ

AIマグロ

 さて、日本国内初のAIでのマグロの質を見極めるというのですが、果たしてどうでしょう。このAIアプリ「TUNA SCOPE」は、3年ほど前に電通とそのグループ企業であるISID(電通国際情報サービス)が開発しました。開発にあたっては、マグロバイヤーが実際に見ているマグロの尾の断面を撮影した数千枚の学習用データをデジタル化して、およそ90%以上の制度でマグロの等級のAランク(最上級)、Bランク(上級)、Mランク(並品)と判別できるらしいです。 

 

 実際は、生のマグロの判別には適用されるわけではなく、冷凍マグロのみが対象となっています。冷凍マグロの尾の断面をAIを使って見極めるわけです。マグロの品質の判別は他の魚類に比べて難しいのですが、やはり、最も人気のある魚ゆえにまず初めにマグロに挑戦したという具合です。 

 Aランクマグロを「極み熟成 AIまぐろ」という期間限定商品として7月10日から売り出されておりますが、さて、お味の方は?

 ハワイでには、まだ進出していませんが、カルフォニア州を中心に米国全土、そして日本、台湾で450店舗を展開する回転寿司チェーンの“くら寿司”が、AI(人工知能)によるマグロの買付が、日本では話題になっています。 

 日本からの海外進出で、“スシロー”や、“元気寿司”から遅れを取っているくら寿司ですが、ここに来て米国市場への進出を果敢に狙って、昨年の8月にナスダック上場を果たしました。米国市場から資金の調達を潤沢にすることで、全米拡大を狙っています。現在は、カルフォニア州の16店舗、テキサス州は8店舗と西側に集中させ、東海岸や他州で8店舗となっています。 

 

 日本国内での熾烈な競争が続く中で、くら寿司は7月からの新商品発表イベントの一つに、仕入れ時のマグロの質の判別にAIを使うアプリ“TUNA SCOPE”の導入を始めると伝えました。その背景には、COVID-19による海外現地買い付けの困難、目利きとなるバイヤー後継者不足などの問題があるようです。 

 くら寿司の話では、「一人前のマグロバイヤーになるまでには10年はかかるでしょう。マグロの判別方法ですらマニュアル化されていないので、技術の指導や伝承も課題です」と言っており、大手の企業にとっては、まさしく現実的に直面する課題なのでしょう。 

 開発者側では、「ある水産加工業者がマグロの検品業務に使用したところ、判定結果の約85%が目利き職人の評価と一致した」と言っています。こうしてマグロへの思い込みだったり、偏ったりしがちな勘や経験に基づく日本の職人さんの目利きそのものに、新風を吹き込むことになったのです。

STORY 151

永井 修二

北海道出身、在米38年 鮪関連水産会社34年勤続

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