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私の旅ストーリー

マンハッタンヘンジ

マンハッタンヘンジ

 1年でたった2日だけ。マンハッタンで最も美しいと呼ばれる夕陽を眺めることができる。マンハッタンヘンジと呼ばれるその夕陽。ちょうど数日前のできごとだった。

 このマンハッタンヘンジ。実用日本語表現辞典によると「マンハッタンに東西に伸びる大通りの、東方向の延長線上に太陽が昇り、西方向の延長線下に太陽が沈む現象を意味する語。1回に観測できるのは15分程度」と記載されている。

 この15分めがけて、例年なら世界中から観光客が押し掛けてくる。当日は、お天気次第だし、いくらお天気がよくても大地に日が沈む寸前に、厚い雲が覆っていたら、その奇跡の瞬間を見届けることができない。それでも、チャンスにかけたい。観てみたい。それほどまでに、このマンハッタンヘンジは人の心を掴んで離さない、自然界と人工界とのコラボレーション。不思議な魅力の瞬間だ。

 

 今年は自宅待機になり、時間はたっぷりとあるにもかかわらず、すっかりマンハッタンヘンジのことは忘れていた。先日、ビルに反射される太陽のうつくしい光をながめているとき、ふと「そういえばこの時期だったなぁ」と思い出した。

 その瞬間、横にいた夫アダムが「そういえばね、今日はマンハッタンヘンジだよ」と告げた。わたしの心の声が聴こえたのだろうか! これには本当にびっくりした。そして、なんというタイミングなんだ! しかも、今、すぐに外へでないと日が沈むまで間に合わないという状況。慌ててアパートの外へと飛び出した。

 通りに出た瞬間。西方向の空が黄金色に輝いた。そう、まさに太陽が沈もうとしていたその瞬間だった。ビルとビルの小さな隙間に、大きくて美しい黄金色の光が沈んでいく。

 言葉を忘れ、しばらくの間その奇跡のような瞬間を閑かにゆっくりと味わった。なんという神々しい光景なのだろう。現実離れしたその景色は、頭で考える能力さえ奪うほど圧倒的なパワフルさとやさしさ、そして愛のエネルギーだった。

 いま、多くの人たちが苦境に立たされ、目に見えない存在と、終わりなき戦いが続いている。そんななかでも毎日、こうやって自然はめぐり、時は動き、地球は、宇宙はわたしたちとともに共存しているのだ。

 

 去年もマンハッタンヘンジを眺めたけれど、これほどの感動は味わわなかった。自宅待機になり、自然の尊さにふれる機会が増え、じぶんと徹底的に向き合い、感じる感覚が以前よりも研ぎすまされてきているように感じている。

 より人間らしい、自然な形に還っていっている。そう表現した方がいいのかもしれない。そう感じているのは、きっとわたしだけではないだろう。前代未聞のこの状況は、まさに、気づきの宝庫だ。

私の旅ストーリー No.203

大森 千寿

NY在住。香川県高松市生まれ。アーティスト・作家・アートセラピスト・米国NLP協会認定マスタープラクティショナー・現代レイキマスター。NY・ハワイ・日本の3箇所にアートスタジオを構え活動。著書に、amazon電子書籍「ハワイに不動産を購入して人生10倍楽しむ方法」「ハワイで聞いた! 32通りの生き方(第一弾)」「人生の冒険」がある。NYで新しい扉を開く2日間プログラムやニューヨーカーと行く穴場ツアー、アート最前線ガイドなど開催中。 www.chizuomori.com  ameblo.jp/adamwestonart

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