深く息を吸い込みゆっくりと吐きだす。ああ、なんて空気が美味しいのだろう。ニューヨークを出て約14時間、東京羽田国際空港に降りたった。出発前の検査、到着後の検査を無事にパスして晴れて空港の外に出れたのは到着後から約2時間後。しかし日本の空気に触れた瞬間、長旅の疲れは一気に吹き飛んでいった。

　久々の長時間のフライトのストレス、長期間日本滞在前の準備、PCR検査、約4年ぶりの祖国、今回の旅はいつもより不安と喜びとが入り混じり、心もそわそわ。

　祖国に帰国することがこんなにも緊張するなんて、初めての経験だ。年老いた両親、もうすぐ100歳になる祖母との再会。日本に帰国前はあれこれ考えて、考えれば考えるほど不安な気持ちが膨らんでいたけれど、羽田空港に到着し、祖国の空気を吸った瞬間、そんな不安もすっかり晴れた。

　全く変わっていな両親と元気はつらつの祖母。安堵の気持ちとともにありがたい気持ちでいっぱいになった。

　レストランへ行ってもスタッフの方たちの素晴らしい対応。アメリカでは受けたサービスに対してチップをお渡しする文化に慣れていたけれど、これほど丁寧できめ細やかなサービスをチップなしで受けられるなんて感動。おもてなしの手厚さに感激。

　スーパーなどお店へ入ると、どこへ行ってもスタッフの方たちが親切で丁寧。すれ違うだけでお辞儀をして挨拶までしてくださる。NYではレジへ行っても商品をポンっと投げるように渡されたりとってもラフな感じ。その生活に慣れていたじぶんにとって日本の店員さんたちの態度があまりにも礼儀正しく感動の嵐。

　久々の日本帰国。以前、日本で暮らしていた時には当たり前になっていたたくさんの感動に気づくことができている感謝。

　そして何より、故郷香川の時間の流れ方があまりに穏やかでやさしくて、癒されて心が満たされる。ああ、やっと帰国できたんだ。

　窓の外に見える畑や緑の深まる山々をぼんやりと見つめながら、今を生きている実感を噛み締め、美味しい日本茶をひとすすり。しあわせとはこんな時間のことを指すのだなあ。

　今日も奇跡をありがとう。