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My Destination

(閑話休題) 2020年春

(閑話休題) 2020年春

(前回まで)このコラムは波瀾万丈の私の半生を綴っているもので、現在はMBAを取得し凱旋帰国した2004年6月あたりを連載中であるが、折も折、私の身辺上の大きな変化があったので、連載は一旦筆休めしてその話をしたい。

 

 遡ること数か月、会社のクリスマス休暇を利用して日本に帰国していた私に、この4/1付での日本本社への帰任の内示がおりた。帰任までのおおよそのスケジュールを立てた私は、米国での最後の業務を遂行するため日本を後にした。COVID-19がまだ騒がれる前の正月明けのことであった。

 米国での仕事は計画通り行われていった。ところが、帰任前の「卒業旅行」と位置付けていたメキシコへの旅を終え、任地であるミネソタ州に戻った2月下旬あたりから、歯車が狂い始める。それ以降の出来事を事細かく述べるつもりはないが、メキシコ旅行を挟んで、全く別の次元の世界に飛び込んできてしまった感じであった。特に3月第2週あたりからは、日に日に行動に制約がかかり、数日前にできたことが今は出来ない、ゆえに来週何ができるか分からないから予定が立てられない、といった状況に陥った。

 そのような状況でもあったので、若干予定を繰り上げて3月下旬に米国を発った。ミネアポリス・セントポール国際空港を離陸してから約2時間後、ウォルツ州知事によりミネソタ州全域に外出禁止令が発令された。

 日本に到着した私は、ある程度想定していたものの、COVID-19に関する意識という点で目前に広がる光景と米国との落差に愕然とした(端的に言えば、日本の対応は米国でのそれを見てきた者からすると非常に不安になってしまう)。空港から会社が予約した新宿のホテルに直行、そこで1週間強の自主隔離生活を送ったのち自宅に戻りリモートワークとなって、今日にいたる。

 俗にコロナ禍と呼ばれる現象は言うまでもなく私たちの生活すべてに影響を及ぼしている。それに関してここで見解を述べることはしないが、私自身としてはコロナ禍により多くの時間が与えられた気がしている。それこそこのコラムで今後紹介していくことになるが、もう何十年もずっと走りっぱなしでここまで来た。米国駐在の後半は、ミネソタの自宅にいるのは月の半分もなく、毎朝起床時に“Where am I?”と自問するのが常であった。だから、自分は今は立ち止まっていろいろと考える機会を与えられた、と思うようにしている。この立ち止まりの期間が、今後の自分の人生にとって実り多きものになることを切に願っている。

 

 次回から再び2004年に戻り、「前回の」日本への帰国のころの話を連載していこうと思います。

No. 164

Masafumi Kokubo

ミネソタ州ウィノナ在住。1995年中央大学法学部卒。損害保険会社勤務後、アイオワ州の大学院にてMBAを取得。その後、メガバンク、IT企業を経て、現在は全米最大の鎖製造会社の副社長を務める。趣味はサーフィンとラクロス。

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