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デジタル版・新聞

CAN OF ALOHA コラム

【CAN OF ALOHA】付喪神(つくもがみ)のお話

 もう五年以上の付き合いになる、私のラップトップ。当時は最新型であったMacbook Pro。日本を離れる前に、アメリカでも修理が簡単なMacに乗り換えようと、それまで使っていたWidowsに別れを告げたあの日から、ずっと私のそばに居てくれました。留学生時代はこのラップトップで勉強し、時にはイラストを描いたり、ゲームをしたり、離れ離れになった友達とビデオ通話をしたり。もちろん、このコラムを書くときも、ずっと私を支えていてくれました。

 ところが、数ヶ月前から、キーボードのMが不調に。軽いタッチでは反応せず、力を込めてえい、と押さないと動かなくなってしまいました。それがせめてQあたりのキーならよかったのですが、使用頻度の高いキーの故障は死活問題。すぐにApple Storeに駆け込みました。スタイリッシュな出立ちの店員さんが、キーを外して中を掃除してみたり、違うキーをつけてみたりと色々試してくださいましたが、結果は原因不明の本体の故障。直すのであれば、今、新品のラップトップを買うのと大差ない値段になるということで、一旦そのまま戻ってきたのです。

 それ以来、頑張ってえい、と押すか、Bluetoothの外付けキーボードを使うかで誤魔化し続けて今に至ります。そろそろ充電が脅威的な速さで減るようにもなってきたし、替え時なのかなと思いつつ、まだまだ使えるし、お気に入りのステッカーも貼っているし、と愛着があって手放せないのが本音です。

 付喪神、という言葉があるように、古来から日本人は物を大切にする文化がありました。かつて「もったいない」という概念が諸外国で流行ったこともありました。私も小さい頃は、顔も知らないような親戚のお姉さんのお下がりを喜んで着ていたこともありました。今は何でも安く手に入るようになったこともあり、ついつい無駄遣いしては、「もったいない」と後悔することもしばしばです。

 壊れかけのMのキーが教えてくれたのは、私が忘れかけていた、そういう大切なことだったのでしょうか。力を込めてMを押すたびに思い出せということなのでしょうか。もし、このラップトップに付喪神がついているとしたら、せめてコラムを書いている時くらいは多めに見てください、とお願いするのでありました。

CAN OF ALOHA   No.99

金平 薫 (Kaoru Kanehira)

香川県出身、現在はハワイ某所にて武者修行中。 日々のあれこれを、ゆるりとお伝えできたら幸いです。美味しいものには目がありません。 なんでもない毎日は Instagram:kaoru_days をご覧ください。

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