アーユルヴェーダには、ハーブの種類や体質別のオススメ食材など、たくさんの情報があります。ただ、それらはいわゆる知識ですので、知識だけでは健康になることはできません。アーユルヴェーダが私たちに与えてくれるものは、そのような知識を超えた、長期的に人生を豊かにしてくれるものです。
アーユルヴェーダは、私たちが健康的な生活を送ることができるためのサポートを行ってくれる存在であることは間違いありません。ここで言う健康は、短期的な症状の緩和ではなく、肉体、精神を含めた心、そして魂の域までを含めた健康です。心の底から湧き上がってくるような豊かさを感じながら生活ができるようになるのが、アーユルヴェーダが5000年間受け継がれている理由かもしれません。
これは、ヨガ哲学で触れられる精神性とも関連のある部分ですね。ヨガを実践していくにつれて、「プルシャ」と呼ばれる自分の本質、あるいは自分自身に宿る神聖な領域とのつながりを実感するかと思いますが、その感覚にとても近いでしょう。
肉体的に健康であっても、毎日怒ってばかりいては、精神的には不健康ですね。アーユルヴェーダで人間は、季節、気候、年齢、時間帯など、色々な要因の影響を受けていると捉えます。こうした変化に抗うのではなく、寄り添うのがアーユルヴェーダの特徴です。例えば、女性の場合は生理周期と月の満ち欠けが連動している場合が多いでしょう。これは、私たちが天体の影響を受けていることの一例です。自分の五感も自然のリズムに適応していくことができるようになると、心と身体の健康を維持するのも簡単になります。
日本でも、茶道や花道は季節を視覚で感じますから、五感を意識すること自体は特段新しい考えでは無いでしょう。一方で私たちは、不安や不確実性があるとき、外にある何かを掴み取ってその場を取り繕おうとします。意識が外に向いている限り、自分が持っている本来の力を発揮することは難しいでしょう。
自然と調和する過程で、私たちは肉体と精神の不調を取り除き、そして最終的には自分の本質とつながることができるようになります。健康は、自分の本質とつながるための大切な手段であり、健康を維持できることそのものは、アーユルヴェーダの最終目標ではないのです。
私たちがアーユルヴェーダで得られる健康以上の良いことは、自分の内側とのつながりが強くなり、心の内側から湧き出る豊かさを感じられるようになることでしょう。
幸せ修行 No.260
加藤ジェシカ
世界中50か国以上を旅する中で、地球にはエネルギーのような何かが存在することに気づく。2017年、ヨガの勉強を通してアーユルヴェーダに出会い、渡印。日常に寄り添うアーユルヴェーダがテーマ。
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