東京の若者 「極狭物件」に住むのが流行?!
近年、日本の一部若い世代の間で、東京都心にある極めて狭い部屋を借りて生活するライフスタイルが、一種の流行になっているようである。世界的に高い家賃を維持している東京都心にもし居を構えることができ、仕事場への通勤時間が短縮され、友人との交際が便利であれば、部屋が極めて狭くても、家賃が安く、それに寝るに足りるスペースが確保されていれば、万事OKで、満足でもあるという。これが東京の若い世代の理想的な新ライフスタイルであるとまで言われている。
新しい日本を背負ってゆく東京の若者の新しい居住スタイルが、まさか、上述の様な貧弱な状態が真実か、と疑問を持ち、検証してみることにした。
東京に実存する「3畳ロフト付き」の狭い部屋の内部は次の通りである。中には日本製の小型冷蔵庫があり、ちゃんと折り畳み式のコタツもあって、寒い冬の夜には暖を取ることも出来るし、洗濯物は街角に点在するコインランドリーへ行けば、用は足すことが出来るので、心配はなに一つないと言うのである。
それに今時の若者は、身の周りにスマートフォンやパソコン、小型テレビもあれば、いつでも最新の情報を入手できるし、特殊な仕事をしている以外は、部屋に必ずしも大きな机や椅子は必要ない、とみられている。
もちろん、日本のすべての若者が、このようなライフスタイルに憧れ、生活に満足しているとは言い難いが、確かにこのような状態が今の東京の一般的なミニマムな所謂「3畳ロフト付き」の賃貸物件の内部状態である。そのため、この様な3畳ロフト付きの狭い部屋の賃貸物件は、東京の人気エリアを中心に、次々と誕生している。
ある統計によると、東京のある不動産会社では目下約70棟、計1,200室のこの様なタイプの「狭小物件」を管理し、顧客の需要に応えようとしている。
この様な賃貸物件の市場は、既に2015年から始まっており、一般的な6畳一部屋のアパートから、「3畳ロフト付き」の部屋に改造する工事を進めている不動産会社が多くあると言う。この様な小さな部屋の賃貸相場は、不動産会社にとって単価としては約2万から3万円は安くなるが、結果的に家賃の総収入は、部屋数が増えたため、増加となっている。入居者は若い男の会社員が特に多いのが特徴である。
日本は少子高齢化で、総人口自体は減少傾向にあるが、地方から東京への若い世代の流入は依然続いている。東京23区の30平方メートル未満のマンションの平均家賃は、場所によって大きく異なるが、平均毎月約9万から10万円程度で、これは1年前より約4%も上昇している。この様な不動産市況にあって、若者の「極狭物件」に人気がある主な要因は、決してこの質素で貧弱な生活環境を好んで選択するというのではなく、寧ろ、都市部では家賃が依然高騰し続けている中で、床面積をミニマムにした、手が届く家賃の物件を選択せざるを得ないというのが実情であろう(確かに若者の中にはミニマムな生活スタイルを好む傾向のあることも否定できないが)。
今どき ニッポン・ウォッチング Vol.181
早氏 芳琴