日刊サンWEB|ニュース・求人・不動産・美容・健康・教育まで、ハワイで役立つ最新情報がいつでも読めます

ハワイに住む人の情報源といえば日刊サン。ハワイで暮らす方に役立つ情報が満載の情報サイト。ニュース、求人・仕事探し、住まい、子どもの教育、毎日の行事・イベント、美容・健康、車、終活のことまで幅広く網羅しています。

デジタル版・新聞

今どきニッポン・ウォッチング

【今どき ニッポン・ウォッチング】日本の宇宙ビジネス参加への心得と決意

 日本列島北端の島北海道では、今まさに人工衛星発射場の建設が、本格的に展開されている所である。この人工衛星打ち上げの専門基地の建設は、目下世界的な人工衛星打ち上げの引き合いの高まりの需要に応えるためである。日本航空宇宙工業会によると、2021年では全世界で、計146回のロケット打ち上げが行われていた。これは5年前の1.7倍に増えたことになる。

 人工衛星の打ち上げがこれ程頻繁になってきたのは、世界各国のデジタル化が急速に進み、人工衛星を使った通信や観測データのニーズが高まってきたからである。それ故に、費用を抑えるため、できる限りにおいて小型ロケットの打ち上げは、今後も引き続き引き合いは多くなると予想されるのである。

 本来、ロケットの打ち上げは、欧米中ロ等の国々が独占してきた。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻後、ロシアのロケット「ソユーズ」が使えなくなり、ロシアが今まで担ってきた打ち上げが他国に移されるようになってきたのである。この絶好な商機を逃がさずようにと、力を入れ始めてきたのが我が国である。そのため、北海道の大樹町に小型ロケット打ち上げの専門基地建設が、目下全力で展開される状況となった。

 わが国は今年5月、正式に国内のロケット打ち上げ能力を強化すると表明した。宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業による「H3ロケット」の開発を急ぐほか、民間企業が作る小型ロケットの開発を支援する方針も決定された。

 北海道の大樹町は1985年から「宇宙のまちづくり」を掲げてきた。今回の発射場や関連設備の工事にかかる総額232千万円のうち半分は地方創生を目的とした国の交付金を充て、残りは企業版ふるさと納税の寄付金でまかなうことになっている。

 日本ではこの様な小型人工衛星の打ち上げ基地の開発事業が、全国各地で広がっている。北海道以外にも、例えば、和歌山県串本町では小型ロケットの発射場を建設中で、年末に初の打ち上げを計画している。また大分県国東市では、大分空港の滑走路を「水平型の宇宙港」として使う計画も持ち上がっている。そして、沖縄県宮古島市でも、下地島空港を人工衛星の打ち上げ地として使う計画も進んでいる。

 日本における小型ロケットの打ち上げは、過去においてロケットの性能が良かったため、評判はすこぶる良好であったが、今月12日に打ち上げた日本の基幹ロケット「イプシロン」が失敗したことで、今後の宇宙ビジネスに大きな影響を及ぼすことが懸念されている。

 日本の宇宙航空開発機構(JAXA)」の発表によると、小型個体燃料ロケット「イプシロン」6号機の打ち上げ失敗は初めてであり、これは2003年の「H2A」機打ち上げ失敗以来の出来事であった。日本の主力ロケットは他国に比べてロケットの打ち上げ成功率の高いのは世界的に認知されており、気を落とすことは全くないという見解である。

 いずれにせよ、この度のロケット打ち上げの失敗は、我が国の宇宙研究と技術がまだ完璧な境地に達していない事実を謙虚に認め、原因の徹底究明に努め、この失敗の経験を糧に,更なる前進の力として邁進すべきであることが期待されよう。

今どき ニッポン・ウォッチング Vol.244

早氏 芳琴

返信する

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Social media & sharing icons powered by UltimatelySocial
Twitter
Visit Us
Instagram