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今どきニッポン・ウォッチング

【今どき ニッポン・ウォッチング】ホンダ脱炭素航空燃料の製造へ正式に着手

 我が国は小さな島国でありながら、ここに暮らす人々はいつも勤勉且つ積極的にある目標に向かって、奮闘努力しているのである。彼らの脳裏には、失敗や挫折という文字が存在していないようさえ思われる。個人ひとり一人がこのような生まれもっての精神を具有しているばかりでなく、企業活動においても、決めた目標に向かって猛然とダッシュする姿を知ることができる。

 いくつかの実例を挙げてみると、世界一のクルマ生産王国を築き上げたトヨタ自動車や、ここで紹介するホンダ社も、同じく負けてはいられない覚悟で新たな航空燃料の開発に取り組もうとしているのである。全世界が一致して彼らに敬意を抱き、その精神構造を学びたく願っているのです。以下ホンダ社の「脱炭素航空燃料」開発の奮闘ぶりの一端を覗くことにしよう。

 日本のホンダが二酸化炭素(CO2)の排出量を大幅に減らす航空燃料(SAF)の製造に乗り出すことを正式に決めた。その原料となる藻類の培養事業を国内外の工場で拡大し、2030年代の実用化を目指すというのである。航空業界の脱炭素化で注目されるSAFは海外からの輸入に頼っており、国産化に弾みが着くことが期待されている。

 ホンダはSAFの製造や流通に向け、国内のエネルギー関連企業との連携を始めた。培養した藻類は自動車生産で出たCO2の吸収にも活用し、工場の脱炭素化も進めるという。

 CO2排出量が多い航空機は、海外では「フライト・シェイム(飛び恥じ)」として批判も多い。国土交通省によると、1キロメートル動いて排出するCO2の量は2019年度時点で乗客1人あたり98グラムと、鉄道(17グラム)やバス(57グラム)を大きく上回るという。

 国連の専門組織、国際民間航空機関(ICAO)は昨年10月、国際線の航空機が排出するCO250年に実質ゼロとする目標を採択した。世界のSAFの供給量は現状では年間の航空燃料消費量の1%に満たず、航空会社による争奪戦が激化する可能性があるというのである。

 ホンダにとっては、自前でSAFを調達・活用できれば、小型ビジネスジェット機「ホンダジェット」や、次世代の移動手段として開発する「空飛ぶクルマ」の競争力を高められるとの思惑もある。

 我が国の政府は30年までに国内航空会社が使う燃料の1割をSAFにする目標を掲げるが、国内ではまだ商用生産されていない。石油元売りのエネオスと三菱商事が共同で事業化を検討しているほか、三菱地所とプラント大手の日揮ホールディグスが原料となる廃食油の回収で協力するなど、国産化に向けた動きが加速している。

 我が国は動力として使うことのできる地下資源が欠乏しているのが実情である。それを「無い」から、「有る」へと変えようとしているのである。

今どき ニッポン・ウォッチング Vol.256

早氏 芳琴

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