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今どきニッポン・ウォッチング

トヨタ、EV車の自社製車戴電池で 『鬼に金棒』となるか!?

 世界最大の自動車販売台数を誇る日本のトヨタ自動車豊田章男社長が、昨年12月14日の記者会見で、世界的な市場拡大に対応するため、EVの開発や生産設備に4兆円を投じることを明らかにした。これで、同社のEV車シフトの新戦略が一層明確になったのである。トヨタ社長は「EVならではの個性的で美しいスタイリング、走る楽しさのある暮らしを届けたい」と熱く語った。この声明を聞いた世界のトヨタ高級車ファンの笑顔が、一層輝くことは想像に難くない。

 同社は今春公表した販売目標では、世界で年間に売り出す1千万台のうち、800万台を、ハイブリット車〈HV〉や電気自動車(EV)を含めて電池による電気エネルギーを動力とする「電動車」が占めるとしていた。うち、EVは、水素を使う燃料電池車〈FCV〉と合わせて、200万台を売るとしていた。しかし、今回発表した目標では、EV車を350万台代に引き上げた。これは昨年に国内で販売した150万台の、2.3倍強となる規模である。そして高級ブランドの「レクサス」は、2035年までには全てEV車にするという目標なのである。

 同社が2030年までにEVに投じる4兆円のうち、中核部品の車戴電池への投資額は2兆円となるという。これまでの予定より、5千億円引き上げた。そこで「電動車」への投資総額は8兆円に及ぶという巨額である。これは世界で進むEVシフトに対応して、戦略を大きく進めるためであり、いかなる状況やニーズにも対応でき、カーボンニュートラル(脱炭素)の多様な選択肢にしたいための宣言であると言えよう。

 自動車のEVシフトは世界的な動向である。トヨタ以外の主要メーカーも相次いでこの方針で邁進している。ホンダは2040年の新車販売を全てEVとFCVにすると発表した。日産自動車は11月に自社開発の「全固体電池」を2028年に投入すると表明している。 

 EUでは自動車産業の競争力を取り戻そうと、EV車の生産を重視している。今や全世界の自動車産業はEV車の生産販売に社運を掛けている、と言えよう。販売規模でトヨタの10分の1ほどのEV専業の米テスラは、株式の時価総額が1兆ドル(113兆円)超に急上昇した程である。

 自動車の主要生産国のアメリカ、中国、EUにおいては、今後10年から10数年の間にEV生産のみにシフトする方針を打ち出している。このような世界のEVシフトのトレンドを背景に、今回トヨタはEV戦略を加速させる方向に転じたのは、EV車に出遅れているというトヨタのこれまでのイメージの転換を狙った目的も大きかったと思われる。

 EV自動車の生産には高性能の固体電池の開発が必要であるとともに、最高性能の半導体が大量に必要であることが周知されている。台湾の半導体工場が日本の熊本でソニーと協力し、世界最優秀の半導体を生産することが最終的に決まったことも、トヨタにとっては、新たな戦略の決断につながったと言えよう。

 ビジネス成功の三要素と言われる「天の時、地の利、人の和」の前二要素が揃ったことで、トヨタはこの絶好のチャンスを逃がさずに、EV車生産に全力シフトを決意したと思われる。

今どき ニッポン・ウォッチング Vol.223

早氏 芳琴

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