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大好きは魔法の言葉

自動車学校で

自動車学校で

 お友達が自動車学校の試験に何回も落ちたから元気がないとメールがありました。私もね、自動車学校…とってもとっても大変でした。私が大変というより周りの方が大変だったかもしれません。毎日やっぱりあんまり受からないから悲しくて、行きたくないなあと泣いていた思いでがあります。

 建物にぶつけて、建物を壊したり…エス字とかゼットの形になっていたり、車庫入れの練習をするときに立っている三角の印もいくつもなぎ倒して壊したり…もうだんだん壊したり、変なことしてしまったりで有名になってしまって、車に乗ると教官の先生に「ああ、きみがあの子」、なんて言われてしまうくらいでした。

 勘違いもいっぱいしました。教官さんが「離して離して…」っておっしゃるのです。何を?って思ったけど聞けなくて、初めはそっとアクセルから足を離して、それでも「離せ」っておっしゃるから、今度はブレーキから足を離して…それでもだめだからもう離すところはここしかないと思って、ハンドルから手をぱっと離したら「何やってるんだ。左の並木塀から車を離せって言ったんだ」とすごく叱られました。

 なんとか試験まで来たときに、急に雨が降り出して、ワイパーの動かし方なんて知らないって思い出して、どうぞ雨が強くなりませんようにと思っていたのに、どんどん降り出して、とうとう「ワイパー」って怒られて、どのスイッチかな…これかな?って動かしたら、ライトがぱっとついて、違ったと思って、今度は何か押したら、シューって水が窓に出て、結局「ワイパーの場所を知らない」ということで落ちてしまったのです。

 

 いつも見て下さってる教官さんが「きみはいい子なんだけど、でも車はあんまり乗らないほうがいいなぁ」なんて言いました。私があんまりシュンとしているので、何かなぐさめなくちゃいけないと思って下さって、それでもいいところが見つからなかったのか「いい子」なんだけどなんてなぐさめてくださったのでした。

 それでついに卒業のとき「あんまり君を置いておくと、どんどん学校が壊れていくし、たまったもんじゃないから、はやく出ていってもらわないとね」とか、「この学校卒業って言わないでね」とか冗談だかそうじゃないかわからない言葉をいただいて卒業をしました。大学の先生も私が路上に出ている時間は「危険だから、外は歩かないこと」なんて掲示板に貼られているほどでした。

 

 でも今は車大好き。でもやっぱりバックは苦手なので、できるだけバックはしないようにそれから細い道も入らないようにしています。でもまっすぐな道は得意です(これ、得意って言っていいのかな?)。

 これを聞いて、お友達も「元気が出たよ」と言ってくれたので、よかったです。

山元 加津子

1957年石川県金沢市生まれ 富山大学理学部を卒業後、特別支援学校の教員と、作家活動をしてきたが、2014年に教員をやめ、2012年に立ち上げた障がいを持つ方もそうでないかたもみんなで幸せになろうと「白雪姫プロジェクト」を立ち上げ、その中で意識障害の方の回復の方法と意思伝達の方法などを伝えている。

http://shirayukihime-project.net

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