夏も終わり、ビーチハウスや避暑地へと出かけていたニューヨーカーたちがマンハッタンに戻ってきた。そこへ観光客も加わり街は大にぎわい。どこのレストランも超満席。コロナが夢だったかのようにもうすっかりいつもの日常がスピードを加速させて進んでいる。

　先日は、創作アトリエのすぐそばの路上が歩行者天国になっていた。人々の熱気につられて近くまで行って見ると、ジャパンフェスと呼ばれるイベントだった。数キロに渡って日本食の屋台が並ぶび若者たちが行列をなしている姿。いつもは6車線の道が人、人、人で埋め尽くされ、向こうが見えないほどに続いる。

　たこ焼き、焼きそば、お好み焼きに唐揚げに餃子にラーメンに…、何十軒いや、百を超えるお店が集結していてどのお店も大行列。中には2時間待ちのお店まで。たこ焼きやお好み焼きが1パックが15ドルという高額。日本の感覚では考えられない。それにも関わらず、若者たちが行列をなして押し寄せている光景を外から眺めながら、日本人気の凄みを見せつけられた。

　マンハッタンの街の中で、風になびく日本の日の丸。祖国を離れて暮らしている中で、自国の国旗が目の前でなびくのを見る光景はやけに心にしみる。嬉しくて、誇りに思いながら楽しそうに屋台食を頬張る人たちをぼんやりと眺めていた。

　日本のあまりの人気のすごさに、思わず日本の良さを聞いて見たいという衝動に駆られた。並んでいる若者に質問してみた。「日本が好き？」すると満面の笑みでYES!!! と返事。わたしの質問を聞いた他の人も、「わたしも日本のことが大好き！」そういって笑顔をみせてくれた。

　私が日本人だというだけで羨ましがられ、日本のどこが好きかという質問には、美しいところ、親切なところ、食べ物や文化など唯一無二のところが好きなんだとこたえてくれた。

　なるほど…。日本は海外の若者から「唯一無二」の国だと思われてるんだね。

　ニューヨークで暮らす中で、日本好きのニューヨーカーたちにたくさん出会ってきた。彼らは日本の素晴らしさを教えてくれる存在。日本に住んでいた頃には気づいていなかった視点で自国の良さを教えてくれるありがたさ。

　世界で愛される国、日本。唯一無二の国、日本。

　日本人でよかった。祖国を誇りに思う。