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デジタル版・新聞

コラム マスコミ系働き女子のひとりごと

日本は空前の鬼滅ブームです

何かと下を向きがちな話題の多かった2020年ですが、日本では年代を問わずアニメや映画を中心とした「鬼滅の刃」旋風が吹き荒れました。私の体感では、ここ数年ない経済効果をもった突風で、新聞の全国紙にも、漫画の発売に合わせて前代未聞の超大型の広告が掲載されました。

これは集英社のコミック「鬼滅の刃」が完結する最終23巻の発売に合わせたもので、12月3日の発売前日の夕刊にまずはモノクロの全面広告が掲載されました。翌日の朝刊には全面広告をドーンと4枚掲載。日経、朝日、読売、毎日、産経の5紙で新聞ごとにキャラクターが違い、各地の新聞販売店に朝から行列ができたとニュースになりました。

 

学校では撮影禁止のお達し

娘が通う都内の女子校では通学路に新聞販売店があるのですが、生徒が販売店に貼り出された新聞の写真をあまりにスマホで撮るので、学校から撮影が禁止されたとか。新聞の広告がここまで話題になるのは、かつての宮沢りえのヌード写真集以来(古くてスイマセン)か…。国民みなが身を固くして縮こまっている今の日本で、その反動のような社会現象となりました。

 

私もブームにのりました

大人になってからテレビアニメとは無縁だった私ですが、大正時代を舞台に、人間を食べる鬼と、その鬼と対峙する「鬼滅隊」を主人公にしたこのアニメは、アマゾンプライムですべて鑑賞しました。アニメの後は、コミックスも最終巻を残して22巻を読書完了。正直、鬼が人間の首をはねるシーンは残虐で、登場人物も次々と作品の中で命を落とし、暴力シーンには目をそむけたくなります。ただ、家族を鬼に惨殺された怒りや悲しみを胸に鬼に挑む主人公や、一緒に戦う仲間、そして鬼の一人ひとりにも人間時代の悲しいストーリーがあり、読む人それぞれに肩入れしたくなる登場人物がいる…そんな作品だと思います。家族や職場で、自分の好きなキャラクターについて話し合うのも楽しく、また話の展開をリアルタイムで予想し合うのが新鮮でした。

40代半ばの友人がコンプリートした缶コーヒーの鬼滅缶。パッケージが28種類もあるのもファン心理をくすぐりました

コラボ缶も大人気

関連商品も売れに売れ、「鬼滅の刃」とコラボし10月5日に発売されたタイドーの缶コーヒーは、発売から3週間で累計5000万本を販売。10月16日に公開された映画も、コロナの感染拡大防止のため客席が減らされた状況でも、観客動員数が2152万人を記録(公開からの45日時点)。歴代1位となるのも時間の問題と言われています。コロナのため外出を控えがちな今の世の中で、これだけの人を映画館に向かわせるとてつもないエネルギーをもった作品であることは、間違いありません。

 

心をとらえる熱いセリフ

作品の中には、印象的なセリフがたくさん出てきます。「心を燃やせ」「生殺与奪の権を他人に握らせるな」「男が喚(わめ)くな、見苦しい」。鬼滅の刃がここまで日本人を魅了するのは、人前で感情を出すことがほとんどない今のこの国で、皆が心の奥の奥に持つ熱い気持ちを、持て余しているからのように私には感じられます。今の時代が求めた作品だったのかもしれません。

 

そして、夜が始まる「夕刊」、鬼が太陽の光をあびて消える朝の「朝刊」と物語にリンクするように考えられた新聞広告のメッセージで、ネットにはできないアナログだけど強烈なインパクトを放ってくれました。2020年に大ブームを起こした「鬼滅の刃」。皆さんも、最初の数話だけでもぜひ!

「夜は明ける。想いは不滅。」。コロナの闇に包まれる今の世界ともリンクするようなメッセージ

東京・大手町発 マスコミ系働き女子のひとりごと Vol.29

(日刊サン 2020.12.11)

竹下聖(たけしたひじり)

東京生まれ。大学卒業後、東京の某新聞社でスポーツ記者、広告営業として15年間勤務後、2012年〜2014年末まで約3年間ハワイに滞在。帰国後は2016年より、大手町のマスコミ系企業に勤務。趣味はヨガと銭湯巡り。夫と中学生の娘、トイプードルと都内在住。

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