海に浮かぶ鳥居は国内にいくつかあると聞くが、やはり代表格といえば宮城県松島、京都府天橋立に並ぶ日本三景のひとつであり、世界遺産でもある宮島、厳島神社の大鳥居だろう。
元々は推古天皇の時代に建設され、その後平安時代の武将平清盛によって大規模に、さらに戦国時代には毛利元就、豊臣秀吉も修復や参拝をしたという歴史を持つ厳島神社。鮮やかな朱色の立派な鳥居を期待して行くと…なんと修理中で鳥居全体が灰色のカバーで覆われていた。が、本社は平安時代の雰囲気を色濃く残しておりとても美しく、満潮の時間を目指して到着したため海に浮かんでいる様子が幻想的だった。
厳島神社 |
もうひとつの目当ては、呉市の“大和ミュージアム”。第2次世界大戦中の1941年に竣工し終戦の年まで活躍、旧日本海軍が建造した中でも史上最大にして最強の戦艦大和を中心に、他の戦艦や明治時代から海軍の軍需工場として栄えた呉の歴史、人間が入り操縦して体当たりする魚雷“回天”、戦闘機“零戦”が展示されている。決して戦争を美化するわけではないが、そびえ立つ艦橋や主砲、スクリューなど戦艦大和のデザインは本当に格好良かった。
戦艦大和 |
広島市内では、中国地方で1番の歓楽街“流川”で飲み屋をハシゴし、地元女子にオススメの飲食店を徹底的に聞き込み!背脂と醤油ベースのスープに細麺が最高で、リピートしたくなる尾道ラーメン“暁”、飲んだ後の締めに流行っているという辛いつけ麺“唐々亭”、県内でもトップブランドの地御前産生牡蠣と、地酒“雨後の月(月光/大吟醸)”も堪能。しかし、最も衝撃を受けたのは穴子の刺身だった。穴子が生で食べられることに驚き、また上品な脂と凝縮された旨味が抜群!原爆ドームや平和記念資料館を見てその悲惨さに気持ちが沈んでいた後だったので、たくさん食べ飲み、あらためて平和を噛みしめたのだった。
穴子の刺身 |
厳島神社に行きたくて訪れた広島だったが、想像以上に食べ物が美味しかった。今度は修理が終わってから宮島を再訪したいし、縮景園や広島城、護国神社も観光したい。
●加西 来夏 (かさい らいか)
訪問39ヵ国、好きな言葉は「世界は驚きと奇跡に満ちている」/地元女子との会話の中で「へぇ、そうなんじゃあ」という広島弁を聞くたび、映画“この世界の片隅に”の主人公すずを思い出しほっこりしました。
(日刊サン 2020.2.7)