港町ガルベストン
テキサスでの目的地はガルベストンという古い町です。この町には長く伸びた海岸線の沿ってリゾート向けのコンドがいくつもいくつも立ち並んでいます。海岸線は毎年のようにやってくるハリケーンから守るため、20世紀初頭に作られた5メートルの高さの防波堤が延々と続いています。海岸線は一直線で浜辺の幅は80メートルはあり、平坦で歩きやすいです。地元の人でしょうか、天気のいい日にはパラセルとイスを持参して、波を見つめたり、読書をする人を見かけたり、凧揚げやら、愛犬と戯れる姿が見かけられます。カモメなどの海鳥も冬の暖かい日差しを受けて浜辺で休息する姿も見かけられます。
悲しい歴史
このガルベストンの地には数年に一回のような感じで大きなハリケーンがやってきて、この港町に被害をもたらします。特に1900年のハリケーンでは、その当時の町の人口の4分の1の8千人ほどの人が溺死したり、行方不明になるなど甚大な被害を与えました。被害者数が統計により違うのは逆にそれほど被害が大き過ぎた証拠とも言えます。
それでこの町では思い切って、今見られる海岸線に沿って長い高さ5メートルの防波堤を築き上げました。そして町全体を水害からの建物への浸水から守るため、数メートルもすべての建物に盛り土をして、高くしました。この工事には1903年から8年もかかったそうです。町の建物の中には大きな邸宅や商業ビルや教会のような複雑な建物もあり、どうやって崩壊しないよう持ち上げたのでしょうか? この工事は規模の上からでも難工事になったことが想像できます。この工事を請け負った建設会社は建設が完了した時には大赤字となったそうです。
伸びない人口
この町へ来て驚いたことがあります。それはこのメキシコ湾に面した海のリゾート地がかってはテキサス州で一番繁栄の都市で電灯や電話や水洗トイレなどあらゆるものがこの地から発信され、木綿などの貿易や金融業などで19世紀末には繁栄をしていました。ダウンタウンにはそうした面影を残す町並みと当時の繁栄を忍ばせる建物があちこちに残っています。
それでも町を散策していて感じることは「過去の町」であることです。人口がこの百年でほとんど伸びていないことで分かります。その原因は繁栄の主導権を近くのヒューストンに奪われたことが大きいようです。ヒューストンは全米で4番目に大きな都市で年々大きく成長していっています。
冬の渡り鳥
ガルベストンにはカナダやアメリカ北部から冬にやってくるスノーバードと呼ばれる人達がいます。そうした人達は大型のリクレーション車を海岸の公園で駐車して生活したり、コンドで生活し、釣りをしたり、ゴルフをしたり、同じコンドの住民とパーティーなどして楽しんでいるようです。
自分達はこの一直線に長く続くゆったりとして海岸線の散歩を毎日楽しみました。
とどけMahalo! アメリカ本土便り No.122
大井貞二(おおいさだじ)
1988年にハワイに移住。地元の私立校で日本語を教える。その後、ハワイ大学大学院を経て、ハワイパシフック大学(HPU)にて世界中からやってくる学生に日本語を教え、最近退職。現在アメリカ本土に居住。
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