餌になる水中プランクトンによってキャビアの味が異なる
前回は、キャビアの親のチョウザメの種類によるキャビアの値段や味、見た目の違いについてお話しました。さらに、餌になる水中プランクトンによってキャビアの味に差が生まれるため、同じ種類のキャビアであっても産地により価格が違ってきます。最高級のキャビアが採れるのはやはりロシア。中でもカスピ海が1番の名産地とされています。
「ロシアのカスピ海産ベルーガ」が最高級
ロシアの最南西部に位置するカスピ海は、イラン、カザフスタン、トルクメニスタン、アゼルバイジャンにも面しています。そのため、カスピ海産のキャビアにはロシア産以外のものもあり、イラン産がロシア産に次いでいます。さらに同じカスピ海産でも、ロシアでは川を遡上するチョウザメを網で捕獲するのに対し、イランでは海釣りで捕獲するため、イランのキャビアはチョウザメが疲労するので味が落ちるといわれています。そのため、カスピ海産のキャビアの中ではロシア産に最高値が付けられていて、ロシア産ベルーガの小売価格は30gあたり約2万4,000円となっています。
養殖キャビア、日本産も
1991年のソ連崩壊後は、ロシア近辺の海や川に生息する野生のチョウザメの乱獲が進んで数が激減してしまい、以降は養殖が盛んに行われるようになりました。アメリカやヨーロッパはもちろん、最近は中国や韓国でもチョウザメの養殖が行われています。日本では、高知県で仁淀川の伏流水を使った養鰻用の池で、岐阜県では奥飛騨温泉の温泉熱を使った養殖池でチョウザメが養殖されています。両方とも30gあたり約2万円で販売されています。
塩分濃度が低い国産キャビアは本来の味が損なわれにくい
キャビアは通常、塩漬けで保存されますが、輸出用のキャビアは長期保存の必要があるので、塩分濃度は7〜10%と高めです。そのためキャビアの風味が消えてしまい、ほぼ塩の味しかしないものも多いのだとか。一方、原産国で国内用に塩漬けされたキャビアは保存に必要な期間が短いため、塩分濃度が3〜5%に抑えられており、キャビア本来の味が損われにくいのです。ロシア産の天然ものと日本産の養殖物を食べ比べてみると、日本産のキャビアの方が断然美味しいという通人も多いのだそう。
次回日本に帰った際は「一生に一口」くらいのノリで純国産のキャビアを試してみても良いかもしれません。
トリビアでTake a Break
(日刊サン)
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