永遠に生きられるなら、生きてみたい。長く生きれば世界中をくまなく旅できる上、人類や宇宙の起源、地球外に知的生命体はいるのか、といった現代では未解明の謎を知ることが出来るかもしれないからだ。
今から遡ること百年前の大正時代。少年、竈門炭治郎(かまどたんじろう)は家族を“鬼”に惨殺され、生き残った妹の禰豆子(ねずこ)は鬼と化してしまう。彼女を人間に戻す手がかりを求め“鬼殺隊”に入り鬼たちと戦う中、今回は同期の我妻善逸(あがつまぜんいつ)、嘴平伊之助(はしびらいのすけ)、さらに隊の中でも最強とされる煉獄杏寿郎(れんごくきょうじゅろう)と共に、次々と乗客が行方不明になる怪しげな“無限列車”に乗り込み、鬼の関与を探る―。
アニメが一大ブームになっていた頃、登場人物の名前が独特で覚えられない、読めない、と挫折したきりだったものの、本作は初心者でも十分に楽しめる内容だった。主人公・炭治郎を含めた人間である鬼殺隊と、狩られる側の鬼たち、双方が華やかなビジュアルと個性を兼ね備えていて魅力的!かつ、「○○の型、×××~!」と名前同様に必殺技が覚えられなくとも、躍動感に溢れたアクションシーンは見応えたっぷり。
また、後半の煉獄杏寿郎と猗窩座(あかざ)という鬼との対決は、鬼であるがゆえの不滅の代償、そうまでして鬼になることの価値とは、と互いの信条を賭けた大激戦で、ただただ圧倒され引き込まれた。鬼滅隊=正義、鬼=悪、という安易な図式では割り切れない設定もあり、その葛藤がいい形で自然と観客を巻き込んだのではと思う。個人的には鬼側に感情移入してしまった。
鑑賞後によくよく原作を読んだところ、日本最古の書物“古事記”の要素や民間伝承が織り混ぜられており、探究心をくすぐられた。途中、そもそも鬼の由来も諸説あるし、と調べていると、河童や座敷童子にまつわる逸話を収めた柳田國男の“遠野物語”にまで寄り道してしまい、湧き出る知識欲を満たすにはやはり永遠が必要か…と思った。
加西 来夏 (かさい らいか)
映画は年間100本以上視聴、訪問国は39ヵ国~の旅する映画ラヴァー/今年のハロウィンは自粛しましたが、Dead by Daylightというゲームに登場するウサギのお面を被った殺人鬼の格好をしてみたかったです。来年は出来るといいなぁ。
シェアする