マウイ島の山火事は日本の報道でも大きく取り上げられています。美しい自然と共存できる環境が損なわれること、それに伴い人的被害が大変大きいことなど遠く離れた日本でも私も含めて心を傷めておられる方が多いと思います。世界でもハワイはおそらく日本人にとって最も馴染みの深い場所でしょう。被害に遭われた皆さまにはお見舞い申し上げますと同時にこれ以上在住の方々が辛い思いをなさらないこと心より祈っております。

　こうした状況下で眠れない方々も多いかと存じます。眠りはお身体を回復させるために最も重要な機能です。とくに年齢を重ねると眠りが浅くなり翌朝充分に睡眠を確保できたと実感できる機会が減っている方も多いようです。米国カリフォルニア大学の睡眠に関する研究報告が7月24日に公開されましたのでお伝えしておきましょう。

　認知機能障害や認知症に罹患していないご高齢者（60～80歳）を対象とした研究で参加人数が43人と少ないものの非常に興味深い結果が出ています。この研究では睡眠中にエッセンシャルオイルを利用するグループと対照群を１：１で振り分け６か月の間追跡調査しました。エッセンシャルオイルは７種類を毎晩１種類ずつ２時間利用してもらっています。６か月後に神経心理学的評価、知能検査とMRIを用いた脳画像で解析しました。

　その結果、嗅覚刺激群（アロマ群）では対照比較群に比べて記憶領域ではなんと226％（2倍）の有意な改善が見られました。また、脳にある左鉤状束（エピソード記憶、言語、社会的感情処理などの機能を担っている場所で加齢やアルツハイマー病によって機能が低下します。）の平均拡散能が有意に増加したことも認められました。つまり脳の情報処理能力が格段に向上したと考えられます。ただし、知能検査では有意な違いはみられなかったと報告しています。

　エッセンシャルオイルはドラッグストアなどでも容易に手に入りますのでお休み前にアロマオイルを焚いて入眠なさるのは手軽な記憶能力向上法かもしれませんね。

　山火事でお心の休まることがないかもしれませんが、こうしたことで幾分かでも睡眠の質が良くなれば、明日が元気に迎えられるかもしれません。因みにご高齢の方の鬱症状にもアロマオイルの有効性が認められたという論文もあります。

　今夜皆さまに安らかな睡眠が訪れますように。おやすみなさいませ。