乗り越えること
先が見えないほど、世界中が大変になっていて、いったい自分はどうしてすごしていいのか、不安になりますね。私はこんなときによく昔一緒にお勉強した雪絵ちゃんのことを思い出します。雪絵ちゃんは病弱養護学校で出会った生徒さんで、多発性硬化症という病気を持っておられました。多発性硬化症にもいろいろな型があるようですが、雪絵ちゃんは再発するたびに、少しは動くようになったりするけど、再発の前の状態よりも回復することがなくて、だんだん動かなくなるところが多くなったり、目がみえなくなったりしていくタイプの病状でした。でも、雪絵ちゃんはいつも、どんなときも前向きで、どんなふうに生きていったらいいかをよく教えてくれました。雪絵ちゃんのこんな詩があります。
楽しい悲しみ
悲しい事やつらいこと、悩みはありけど、嫌だけど、これらをちゃんと通らないと前へは進めない。明日は来ない。前へ進みたい。だから喜んで悲しみます。何日か後に、いい事が待機しているかもしれない。そうに決まってる。だから、今日は悲しい事があったけど、とりあえず私のことを待っててくれているいい日のために通過しておかないといけない。楽しみながら、明日を期待しながら悲しむよ。なんか明日はいい事ありそう。
届くよ
雪絵ちゃんは一度は悩むのです。でも、必ず自分で前へ進む方法をみつけます。私は雪絵ちゃんがなんてすごいのだろうと思います。今、みんなで苦しみや悲しみに直面しているけど、どんなに嫌だと逃げ出したくても逃げられるものではありません。私たちはこれを乗り越えるしかないのですね。嫌だけどそうしないと前ヘは決して進めない。明日のために、今日という日を過ごすしかないのですね。だったらこの日を何か楽しいことを考えながら、乗り越えていきたいと思います。節約料理や家の中のゲームなど楽しいことはいっぱいあります。
それからダライ・ラマさんの言葉も思い出しました。
解決法があるのなら、悩むなかれ。
ただ、そのとおりにやればよい。
解決法がないなら、悩むなかれ。
何もすることはないのだから。 (ダライ・ラマ)
私たちにはできることがあるのです。それは、コロナウィルスは人がいなかったら生きていけない。人はウィルスの乗り物。だからなるだけ動かないように、人と会わないようにすることが自分のできること。できることをして、私たちはきっとこの病気も乗り越えることができますね。
どうかみなさんもお元気でおすごしくださいね。世界中の人がひとつとなって、みんなで笑顔になれる日がきますように。
山元 加津子
1957年石川県金沢市生まれ 富山大学理学部を卒業後、特別支援学校の教員と、作家活動をしてきたが、2014年に教員をやめ、2012年に立ち上げた障がいを持つ方もそうでないかたもみんなで幸せになろうと「白雪姫プロジェクト」を立ち上げ、その中で意識障害の方の回復の方法と意思伝達の方法などを伝えている。