ふりかえりのお話
コロナ騒動が起こってからのことを思い返すと、未知のウイルスに対する恐怖の中でも、しっかりとご飯だけは食べていました。むしろ、ステイホームで運動量は右肩下がりなのに、食べることくらいしか楽しみがない! ということで、もりもりご飯を食べ、時にはウーバーイーツを頼み、昼間から酒を飲み、当たり前に増えていった体重。ステイホームが徐々に終わりを見せている今、お腹についた脂肪とどう向き合うかが試されています。この原稿を書いている現段階では、6月頭からジムがオープンする見通し。きっと私と同じように、ステイホームの帳尻合わせをする人もいれば、コロナ以前から真摯に自分の体と向き合ってきたストイックな人もいるのでしょう。もう、賭けてもいいのですが、前者は徐々にジムから姿を消し、年会費だけを払い続けるのはずです。耳の痛い話です。
それに先駆けて、理・美容室もオープンです。「コロナ明けには、美容師は億万長者になれる」という冗談も耳にしたほど、皆さんヘアカットを渇望していることに疑いの余地はありません。自分で髪の毛を切れる器用な方を除いて、ほとんどの方が伸ばしっぱなしにせざるを得なかったのではないでしょうか。私もその一人。毎日束ねてなんとか誤魔化してはいるものの、長さも量も、私史上最大。もう重くて、邪魔で、一刻も早く切りに行きたいです。髪の毛を自分の好きな時に切れる、というのがこんなにも贅沢なことで、そしてこんなにも生活に根付いていることだとは。
そして、食料品・日用品以外のお店も少しずつ活気を取り戻してきました。コロナ不景気と言われつつも、ステイホーム中に抑えざるを得なかった物欲が爆発する人も少なくないでしょう。私も、洋服や化粧品、雑貨といった「不要不急」のものを、目的もなくウィンドゥショッピングしたくてたまりません。6フィートのソーシャルディスタンスや、店内の人数制限を守らなければならないので、なかなか不自由かもしれませんが、どこにも出かけられない今に比べれば、ずっと幸せに聞こえます。
そして、もう少し待てば待望の「レストランでお食事」が戻ってきます。テイクアウトやデリバリーも簡単でいいのですが、やっぱり外食の非日常感は別物。席について、メニューとにらめっこして、おしゃべりしながら食事が運ばれてくるのを待っているあの瞬間が、皆さん恋しくはありませんか。もう一息、もう少し踏ん張れば、戻ってきます。
このコラムは、2020年5月28日現在の情報をもとに執筆しています。最新情報は各自でご確認ください、と注釈をつけるように、これから先のことはまだ誰にもわかりません。このまま、また平凡で、自由で、それでいて満たされていた生活が戻ってきますように。そして、コロナから離れた、馬鹿馬鹿しいコラムが皆さまのお目にかかれる日を楽しみにしています。
CAN OF ALOHA No.31
金平 薫 (Kaoru Kanehira)
香川県出身、現在はハワイ某所にて武者修行中。 日々のあれこれを、ゆるりとお伝えできたら幸いです。美味しいものには目がありません。 なんでもない毎日は Instagram:kaoru_channel をご覧ください。