ブラジル南部の都市ポルト・アレグレで、10月に制定された法案が、今週、じつは人工知能(AI)によって書かれたものであることが市議会議員によって明らかにされた。AIによる条例が制定されたのは国内初であるとAP通信が伝えている。
ブラジル南部で2番目に大きな都市、人口130万人のポルト・アレグレの市議会議員、ラミロ・ロザリオ氏は、OpenAIのチャットボット「ChatGPT」に、水道メーターが盗まれた場合の交換費用を納税者に請求しないようにするための提案を作成するよう依頼したと述べた。彼はAIで生成された提案を35人の同僚議員に提出したが、一度も変更することなく、またその前例のない出自を知らせることすらしなかったという。
ロザリオ氏は、11月30日(木)、AP通信との電話で、「もし事前に明らかにしていたら、この提案は採決に持ち込まれることすらなかっただろう」と語った。36人の議員で構成される議会は全会一致でこの法案を承認し、条例は11月23日(木)に施行された。同氏は、「AIによって書かれたという理由だけで、プロジェクトが承認されないというリスクを負うのは、住民にとって不公平だ」と付け加えた。
ChatGPTの能力を試した議員は、ロザリオ氏が世界で初めてではない。米国マサチューセッツ州では、民主党の上院議員バリー・ファインゴールドが、ChatGPTを含むAIモデルの規制を目的とした法案の作成にChatGPTを利用した。今年初めに提出されたこの法案は、まだ採決されていない。
ファインゴールド氏は電話にて、ChatGPTは、すでに制定されている法律を正確かつ迅速に検索し引用するなど、法律制定プロセスの面倒な要素の一部を手助けすることができると述べた。しかし、その過程でChatGPTや同様のツールが使われたことを誰もが知ることが重要であると付け加えた。
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画像:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.12.1)